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美しすぎるフィットネス美女たちが牽引する韓国のアスレジャー人気

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
韓国でも各社がアスレジャーに力を入れている(写真提供:SPORTS KOREA)

“アスレジャー”という言葉をご存じだろうか。「アスレチック(運動)」と「レジャー(余暇)」を組み合わせた造語で、スポーティーな要素を取り入れたウェアを普段着しても着こなすファッションスタイルのことである。アメリカで火がつき、最近は日本でも何かと話題だが、韓国でも“アスレジャー”がひとつの流行になっている。

韓国ファッション産業研究院によると、2010年の韓国アスレシャー市場はわずか5000億ウォン(約500億円)に過ぎなかったが、2016年度は1兆5000億ウォン(約1500億円)に膨れ上がっているらしい。

ブームの牽引役を担っているのは、昨今韓国で人気のフィットネス・タレントたちでもある。例えば“リアル峰不二子”を彷彿させる「奇跡の美体」の持ち主であるイェ・ジョンファはナイキのカジュアルウェアを好んで着用し、“脱アジア級のボディ”レイヤンはアディダスのタンクトップ&レギンス姿で、日々のトレーニング風景をSNSなどで公開する。

もともとスポーツトレーナーだった彼女たちに憧れて、そのファッションスタイルを真似るだけではなく、実際にスポーツに励む女性たちも増えている。

(参考記事:整形よりも肉体改造!? “美しいフィットネス・タレント”が韓国で大人気のワケ)

韓国の行政機関である文化科学部(日本の文部省にあたる)が2015年に発表した「2015 国民生活体育 参加実態調査の報告書」によると、「週に1回以上の頻度でスポーツをしている」と答えた女性は、2012年は40%だったが、2015年には53・8%に増加しているというデータもあるほどだ。

つまり、スポーツを楽しむ女性が増えたことでアスレジャーというファッションカテゴリーが韓国でも頭角を現しているわけだが、個人的に興味深かったのは韓国のアスレジャー市場の傾向だ。

KOTRA(大韓貿易投資振興公社)によると、昨年の韓国スポーツ市場1位はナイキ(20・7%)、2位にアンダーアーマー(3.9%)、3位にアディダス(3.1%)、4位にスケッチャーズ(3.1%)、5位にザ・ノース・フェイス(2.2%)となっているというが、最近はニューバランスやデザントなども存在感を高めているらしい。

また、韓国メディア『アパレルニュース』によると、現在、韓国に流通させているアスレジャーブランドは30数社あり、ウォータースポーツやラッシュガードを得意とするブランドもアスレジャー商品を次々と展開しているという。

今年の夏、韓国では少女時代のユリやGirls Dayのユラなど、人気のガールズグループメンバーたちがこぞってラッシュガード姿を披露して話題になったが、『アパレルニュース』は「ラッシュガード・ブランドがアスレジャー市場まで拡大するのは、韓国でのみ起きた特殊な成長事例」(『アパレルニュース』)と言えるかもしれない。

(参考記事:韓国アイドルたちのセクシートレンドは、水着ではなく“ラッシュガード”!!)

そして、その多くが “ウーマンライン”を展開しており、ヨガ、ピラティスに適したクロックトップやハイウェストレギンスなど多様なラインナップを揃えている。

韓国では近年、“才色兼備のピラティス美女”ヤン・ジョンウォンがテレビや雑誌に引っ張りだダコになるほどの人気者になるなど、ピラティスが急速に普及しているが、そうした流行に合わせて各社がさまざまなアスレジャー・ルックを提案しているのだ。

いずれにしても今やアスレジャーがひとつのファッションカテゴリーとして定着しつつある韓国。写真をSNSにアップしただけで記事になる“奇跡のDカップボディ女神”ユ・スンオクが、火をつけた“マッスル旋風”から始まったフィットネス・ブームは、韓国女性たちのファッションやライフスタイルにまでさまざまな影響を及ぼすようなった。日本でも“腹筋女子”゛などが人気だが、韓国のこの流れはいつまで続くだろうか。

(参考記事:日本の“腹筋女子”人気と韓国の“マッスル美女”ブームの共通点)

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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