Yahoo!ニュース

イ・ボミ、キム・ハヌルも常連だったKLPGAアワードが華やかでゴージャスな理由

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
今年のKLPGAアワードの受賞者たち(写真提供:KLPGA)

本日12月20日、日本女子プロゴルフツアーの2016年度表彰式となる『LPGAアワード』が行われる。賞金ランキング1位、平均ストローク1位、新人賞や敢闘賞といった個人賞の表彰があるが、お隣・韓国でも一足早く2016年度の表彰式が行われている。12月6日に韓国女子プロゴルフの2016年を締めくくる『2016KLPGAアワード』がソウルで行われているのだ。

韓国の表彰式も日本のそれと同様に、その年に活躍した女子ゴルファーたちが一堂に集まる。“韓国美女ゴルファー神セブン”に名を連ねるユン・チェヨンやアン・シネらは日本ツアーのファイナルQTのために欠席したが、今年の韓国ツアーを盛り上げた多くのスター選手が勢ぞろい。

また、リオデジャネイロ五輪で金メダルに輝いたパク・インビや今季限りで引退を表明した朴セリなども来場。2人には特別賞が与えられるなど、日本の表彰式と同じような賞があるのだが、KLPGAアワードのひとつの特長は参加者たちがかなり着飾って参加することだろう。

肌の露出が多いイブニングドレス姿の者もいれば、韓服(ハンボッ)と言われる伝統的な民族衣装にしても、かなり凝ったデザインになっている。フェアウェイで見せる姿とはかなりのギャップがある、華やかさで彩られるのだ。

(参考記事:来場ゴルファー&受賞者を一挙紹介!! 美しく華やか『2016KLPGAアワード』

そんな今年のKLPGAアワードは、パク・ソンヒョンの独断場となった。パク・ソンヒョは今季通算7勝をマークし、賞金女王、最多勝、平均ストローク1位、そして記者投票とファン投票で選ばれる人気賞の4冠を達成した。

今季は開幕前から“勝率100%の女”と言われていたが、まさに2016年の韓国ツアーはパク・サンヒョンで盛り上がった1年だった。彼女は来季からアメリカ進出することが決まっている。

特筆すべきはこのパク・ソンヒョンだけではなく、近年の韓国ツアーは毎年のようにスター選手が海外に飛び出していることだ。2015年には前年度6冠に輝いた“ゴルフ界の神童”キム・ヒョージュが、2016年には6冠に輝いたチョン・インジがアメリカに渡っている。

(参考記事:イ・ボミも気が抜けない!? 韓国ゴルフ美しき新世代がスゴい!!

付け加えれば、2010年賞金女王のイ・ボミ、2011〜2012年賞金女王のキム・ハヌルも日本にやってきている。賞金女王が毎年のように国外に飛び出す状況なのである。

こうした状況はKLPGAにとって大きな損失のはずだが、当事者たちはそう受け止めていないらしい。

今年9月、新著『イ・ボミはなぜ強い?〜知られざる女王たちの素顔』のなかで、韓国女子ゴルフツアーの内情を探るべくKLPGAのカン・チュンジャ首席副会長にインタビューをしたのだが、KLPGAの事務方トップと言える副会長は余裕たっぷりにこう答えたのだ。

「若くて才能がある選手が次なる目標を海外に定めるのは当然の成り行きです。それに彼女たちがアメリカや日本で活動し活躍することは、韓国ゴルフの存在を世界にアピールできるという国威発揚の性格を担っていますし、彼女らの活躍によって国内でもゴルフ熱が盛り上がるんですよ。私たちは肯定的に受け止めています」

近年目覚ましい韓国ツアーの盛り上がりについては拙著の中でも詳しく触れているが、スター選手が次々と海外に飛び出しても動揺することがない選手層の厚さと隆盛で沸いていることは間違いないだろう。

何しろその賞金規模や大会規模を創設時と比べると、250倍近くになっているのだ。KLPGAアワードがゴージャスなのも、そうした盛り上がりがあるからこそだと言えるかもしれない。

ちなみに韓国時代のイ・ボミやキム・ハヌルも、KLPGAアワードではいつになく着飾った姿で参加して話題を集めた。日本では見せたことがない衣装で来場したことあるが、逆に韓国のゴルフファンたちは本日行われる日本のLPGAアワードに注目している。

(参考記事:韓国時代のイ・ボミやキム・ハヌルも!! 厳選写真29カットで振り返るKLPGAアワード名場面集!!

個人的に気になるのは、今年のLPGAアワードから新設された『LPGA SHISEIDO Beauty of the Year』の行方だ。

成績だけではなく、社会への貢献姿勢や内面・外面の美しさを兼ね備えた選手に与えられるという趣旨では、韓国の“KLPGA広報モデル”にも近い性格のタイトルのようにも思えるが、『LPGA SHISEIDO Beauty of the Year』は「もっとも輝いている女子プロ1名を選出する」と限定しているだけに、かなり競争率は高そうだが…。

はたして栄えある第1回目の受賞者は誰になるのだろうか。その行方には注目しておきたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事