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“奇跡の8頭身美女ゴルファー”ユン・チェヨンが日本進出を決めた「もうひとつの真実」

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
今季から日本進出するユン・チェヨン(写真提供:KLPGA)

今週末の3月2日から行われる『ダイキンオーキッド・レディース』で、いよいよ幕を開ける日本女子プロゴルフツアーの2017年シーズン。女王イ・ボミの3年連続賞金王なるか、はたまたそのイ・ボミを止める日本人選手は誰かなど話題が尽きないが、お隣・韓国では今季から日本本格参戦となるユン・チェヨンにも注目が集まっている。

ニュースメディア『News en』では、「日本ツアー開幕D-1週間」という特集でユン・チェヨンをクローズアップしているほどだ。

ユン・チェヨンに関しては本欄でも過去に何度か紹介してきたが、彼女が注目を集める理由のひとつはまず、そのルックスにある。韓国にはイ・ボミ、キム・ハヌルなど“韓国美女ゴルファー神セブン”にも数えられる選手が多数存在するが、彼女はその先駆け的存在で、何よりも“正統派”。モデルのようなスラリとしたルックスから“奇跡の8頭身美女”とも呼ばれてきた。

KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)では2009年から毎年、賞金上位60位以内の選手(海外ツアーで活動中の選手は除外)のなかから、メディアやスポンサー関係者などの投票によって“KLPGA広報モデル”というものを選んでいるが、ユン・チェヨンは昨年までなんと8年連続で選ばれる“皆勤賞”でもある。

しかも、そのルックスの良さはライバルであり同僚の女子プロゴルファーも認めている。

以前、韓国の某メディアが実施した “現役プロが選ぶ禁断のアンケート”でも、ユン・チェヨンは「外見が最も優れた選手」で堂々の1位に輝いているのだ。

そんな人気者である彼女が今季から日本を主戦場に選んだのは、「変化が必要だったから」だったという。1987年生まれで18歳でプロデビューし、2006年から11年間、KLPGAツアーでシード権を保持してきた彼女からすると、マンネリから脱却して新しい挑戦を始めたかったのだろう。

ただ、その一方で新たな挑戦をせざるを得ない状況に立たされていたとも言えなくもない。韓国女子ゴルフの実情を記した拙著『イ・ボミはなぜ強い?知られざる女王たちの素顔』でも書いたが、昨年夏に実施したユン・チェヨン単独インタビューでもこんな本音を漏らしていた。

「韓国の数え年で私は今年で30歳になりますが、韓国では私のように長く現役を続ける選手がいません。やらないのではなく、できないのです」

日本同様に韓国でも女子ゴルフの若年化が著しい。新しい才能が続々と登場してくるので、競争は激しく、スポンサー企業やメディアも、若くて新しいスターに目を奪われる。前出した拙著の取材で、キム・ハヌルも言っていた。

「韓国では若くて新しい才能たちに脚光が集まる。スポンサーも若い選手に投資しようとする。韓国では20代中盤を超えたら、ベテラン扱い。まるで賞味期限の切れた果物のような扱いを受けてしまう。まだ20代中盤の私には、そのような仕打ちは受け入れがたかった」と。

この言葉に昨今急増する韓国女子プロゴルファーたちの日本進出の背景を物語るもうひとつの真実を浮き彫りにしていると言える。韓国メディアは単純に、イ・ボミなどの活躍に触発されての日本進出と分析しているが、そうではない事情が彼女たちにはあるのだ。

(参考記事:環境文化? 金銭的条件? 韓流美女ゴルファーはなぜ日本を目指すのか)

もっとも、だからといってユン・チェヨンが“出稼ぎ”のために日本に来るわけでもない。彼女は韓国メディアにも言っている。

「新しい挑戦ですから何か期待感でワクワクしている部分もありますが、年齢も年齢ですから、背水の陣で挑まなければならないでしょうね。これが“最後の勝負”という覚悟で挑みたいです」

韓国では優雅なプレースタイルに定評がある人気者は、“最後の勝負”として挑む覚悟を示しているのだ。そのためにユン・チェヨンは昨年末から国内で合宿をスタートさせ、ウェイトトレーニング、水泳、スキーなどで体力作りに取り組み、クラブを握って打ち込みを続けてきたという。

彼女のデビュー時からその成長を見守ってきた韓国のゴルフカメラマンも「今までのKLPGA公式戦などで見せてきた優雅さとは対照的に、歯を食いしばる姿が印象的」と、彼女の並々ならぬ覚悟に舌を巻くほどだという。

(参考記事:韓国人カメラマンが追い続けた女子ゴルフ界の美女ユン・チェヨン成長の記録21連発!!)

果たしてユン・チェヨンは、その練習の成果を開幕戦でしっかり披露することができるだろうか。韓国メディアがユン・チェヨンに注目する理由は、まさにここにあると言えるだろう。

ちなみにユン・チェヨンと同じく今季から日本参戦が決まっている“韓国女子ゴルフ界の超絶セクシークイーン”アン・シネは『ダイキン・オ―キットレディス』にエントリーされていない。

ファイナルQTの成績が45位に終わり、ツアーフル出場の前提条件となる30位以内を逃しているとはいえ、それでも20試合前後の出場は可能ではないかとされているが、やはり今季は日本と韓国のツアーを並行する予定なのだろうか。彼女の日本デビューはもうしばらく待たなければならないだろう。

(参考記事;ゴルフ界のセクシー女王アン・シネ日本参戦比率はまさかの「30%?」の可能性)

いずれにしても、いよいよ今週末から開幕する日本女子ゴルフツアー。韓国からやって来る新たな“美しすぎる刺客”が、ツアーを盛り上げ、日本女子ゴルフの発展の一助にもなってくれることを、大いに期待したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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