Yahoo!ニュース

国民の“模範”か“生贄”となるか。韓国人が反感を抱く「意外な」3大犯罪とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:アフロ)

日本では毎年3月3日がひな祭りだが、韓国では“納税者の日”として定められている。国民の納税意識の啓蒙のために、毎年、模範納税者などを表彰する。

過去には韓流スターのソン・スンホンと少女時代のユナが模範納税者に選定され、ふたりは韓国国税庁の広報大を務めたこともある。まさに“国民の模範”となるわけだが、一方で韓流芸能界では脱税疑惑にさらされるタレントたちもいる。日本でもヒットした人気ドラマに出演したヒロインや、空前のブームを起こした韓流スターも、脱税疑惑にさらされたことがあるのだ。

(参考記事:容赦なき批判で活動休止にも追い込まれる者も。税金トラブルに巻き込まれたスターたち)

また、脱税疑惑にさらされた芸能人たちは、一気に人気がガタ落ちになる。

とある美人女優は脱税疑惑発覚で出演していた広告の中止を求める署名運動がネット上で起きているし、とある人気司会者は脱税疑惑が持ち上がったことが原因で、芸能活動を自粛したこともあるほどだ。

韓国では脱税が「韓国国民たちがもっとも反感を抱く3大犯罪」のひとつに数えられているほどなのだ。

そんなこともあって、昨年は日本の芸能人の脱税疑惑が、韓国で話題になったこともあった。

日本で人気のセクシー女優である里見ゆりあが所得隠しをして追徴課税が命じられたことが『デイリー新潮』で報じられた際に、韓国のネット上に「分析記事」まで上がったほどなのだ。韓国の人々がそれだけ“税金逃れ”に敏感な一例と言えるだろう。

では、なぜ、芸能人たちの税金トラブルは絶えないのか。韓国のとある税理士は言っている。

「2014年1月から韓国では年間所得額8800万ウォン〜1億5000万ウォン未満は35%の所得税が付加され、1億5000万ウォン以上からは38%に税率が適用されている。この税率を負担に感じ節税しようとするが、それが所得を少なく申告したり、経費を水増してしまい、脱税疑惑につながっているのではないか」

ただ、それも仕方がない。芸能人側にも同情の余地があるらしい。韓国のとある会計士が言っている。

「課税対象と非課税対象の区分が曖昧。経費と思って申告したら認められず、それが原因で追徴課税を命じられ、脱税と報じられる。まして芸能人は目立つので、国民たちへの戒めになる。申告漏れなどの落ち度があったことは反省すべきだが、ある意味、脱税疑惑にさらされたスターたちは、“国税の生贄”だ」

ちなみに前出した「韓国国民たちがもっとも反感を抱く3大犯罪」には、“麻薬の常用”もある。日本でもタレント・芸能人たちの覚醒剤取締り法違反が毎年起きるが、韓国でも薬物に手を染める芸能人がときおり発覚して衝撃を与える。

(参考記事:韓国芸能人たちに忍び寄る「薬物汚染」の暗い影)

また、日本では馴染みがない“兵役の不正回避”も、「韓国国民たちがもっとも反感を抱く3大犯罪」のひとつだ。

韓国では成人男性に約2年間の兵役が課せられており、「国防は全国民の義務」とされているだけにスターやアイドルといった芸能人も避けることはできない。

(参考記事:東方神起やJYJのメンバーも服務中!! 韓流アイドルと兵役のナイーブな関係)

不正に逃れたものなら非難を浴びることは必至。2000年代初期に絶大な人気を誇るも兵役回避でアメリカに渡ったアイドル歌手ユ・スンジュンは、今も入国禁止処分が解けないほどだ。こうしたトラブルのせいで、韓国政府がK-POPアイドルの兵役事項に変更を加えようとしてる動きもあるほどだ。

それに比べると、税金トラブルの処罰は軽いかもしれないが、一たびスターになればドル箱を稼げる芸能界。果たして“国民の模範”になるか、それとも“国税の生贄”になるか。納めるべきものはしっかり納めたほうが、いいに決まってる。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事