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黒子のバスケ脅迫犯は菓子にこうして毒物を混入させた

篠田博之月刊『創』編集長

黒子のバスケ脅迫犯が置いた菓子から毒物が検出されたとマスコミで一斉に報道がされているが、それは以前このブログに書いた通りで、むしろ公表がこんなに遅かったことのほうが不思議だ。どうやら警視庁が発表しないでいたのを時事通信社がかぎつけて配信したのを見て、各社が一斉に追いかけたということらしい。

犯人がどうやって菓子袋に毒物を入れたのか、ここで現物の菓子袋の混入口をお見せしよう(写真)。犯人は新聞・テレビ4社と『創』編集部に、犯行に使ったのと同じ菓子をサンプルとして送っていた。新聞・テレビは警察に任意提出したのだが、『創』は独自の考え方でとりあえず提出を保留したので、まだ現物が手元にある。菓子袋の裏側は写真のようになっており、隅に穴があけてある。この穴から毒物を混入したというわけだ。

そして10月23日に『創』に届いた犯行声明(新聞・テレビには24日)にあるように、犯人はこの穴の上のバーコードのところに「毒入り危険食べたら死ぬで」というシールを貼り、客が買おうとしたら必ず店員が気付くようにしたと言っている。

その2通目が届いた10月23日に『創』は、犯人が毒入り菓子を置いたと具体的な店名を書いた声明文のコピーを警察に渡したのだった。そこから当然、警察とセブンイレブンは店舗や菓子の総点検を行っていたのだが、なぜ報道までにこんなに時間がかかったか。ひとつの推測は、警察はその店の内外や周辺の監視カメラの確認を全てやったはずで、それを終えるまで公表しないという方針だったのではないだろうか。犯人は手紙の中で、店の写真も撮ったなどと、具体的な記述をしていた。該当する監視カメラの映像がないか、警察は必死に解析したはずだ。果たしてそうした捜査はどこまで進んでいるのか。

きょうもマスコミの取材を受けた。テレビ朝日は映像も撮り、明日朝の「グッド!モーニング」で放送するようだ。「黒子のバスケ脅迫事件」を特集した月刊『創』12月号は全国書店で発売中だ。今回のように一斉報道がなされると、何かまた犯人から新しい動きがあったかのように思った人もいるだろうが、そうではない。『創』に詳述した、10月15日の1通目の手紙に書かれたことが少しずつ公になっているというわけだ。犯人が「最初のX-DAY」と予告した11月4日は今のところ何事もなく過ぎたが、脅迫は今後も続くのだろうか

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月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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