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連続放火で服役中のくまぇりが出所後会いたいという元女性警官が青山にいるとの話

篠田博之月刊『創』編集長
くまぇりが最近描いたマンガ

タレントの熊田曜子が第2子出産とのことで話題になっている。「熊田曜子によく似た恵里香」で「くまぇり」と名乗ったのが連続放火事件の平田恵里香受刑者だが、当の熊田曜子はこれに迷惑だと憤っているらしい。

さて、そのくまぇりだが、懲役10年の服役生活も残り少なくなり、出所への準備を始めている。そして彼女が出所後会いたいというのが青山の美容院で働いているという元女性警官だ。

『創』12月号の連載マンガでその話を書いているのだが、これがなかなかいい話なのだ。

くまぇりは、かつてブログで長野の連続放火事件を「こわいよー」と取り上げながら、実は放火していたのは本人だったという劇場型犯罪を行ったトンデモナイ人というイメージで語られているが、実はそれは事件の半面で、もう一方には、彼女がいじめに悩んだり不登校だったりという、現実社会から疎外された少女だったという側面がある。例えば彼女が放火した中学校は、彼女にとっては自分を疎外した象徴だった。芸能界への憧れから「くまぇり」を名乗るのも、単なる虚栄心というより、ある種の現実逃避だったと言える。

彼女の事件の背景にそういう問題が潜んでいることを、私がこの事件をフォローし始めて感じたひとつのきっかけが、彼女が留置場で自殺を図ったという出来事だった。今回、彼女はマンガでその自殺のことを取り上げ、3日間も意識を失い昏睡状態だったと書いている。意識を取り戻した時に彼女が見たのは、真っ青な空だった。そしてその時に付き添ってくれた若い女性警官が、間もなく自分は警察をやめて美容院で働くんだと教えてくれた。自殺未遂で一命をとりとめたくまぇりを励まして、青山の美容院で働く予定だから出所したら必ず会いに来て、と言ってくれたその元警官を、今でもくまぇりは青い空とともに覚えているという。

それから約10年。くまぇりが今回マンガに描いた元女性警官は、果たして今、どうしているのか。美容師として成功したのだろうか。青山の美容院というだけでは探そうにも探せないが、今回のくまぇりのマンガを見た人で何か心当たりのある人がいたら、ぜひ知らせてほしい。元女性警察官と懲役刑を食らった女性が10年ぶりに再会するというのも、昔なら雲をつかむような話だが、今はSNSも発達しており、どこでどんなきっかけで再会しないとも限らない。

もしその元婦警が今も美容師をしていれば、くまぇりのことを覚えているだろうし、たまたまこのブログを目にすることだって、不可能ではない。

ということで、今回、くまぇりのこの話を紹介し、その彼女が描いたマンガを無料公開することにした。

https://viewer.yondemill.jp/?cid=13949

この無料公開ページはHPでくまぇりの連載マンガを電子版にしているのだが、その立ち読みページだ。これを見て、そのボーイッシュな元警官についての情報をお持ちの人は連絡してほしい。もちろんその元婦警ご本人からの連絡も大歓迎だ。

ついでに、『創』HPのトップに、くまぇりへのメッセージを書き込める「お便りコーナー」を作った。情報提供や彼女へのメッセージを書き込んでほしい。ハンドルネームで書き込んで下されば彼女の返事はネットで公開していく。

http://www.tsukuru.co.jp

それから彼女に転送してほしいと編集部に手紙を送ってくる人が時々いるが、中にプレゼントを入れて来るのは避けていただきたい。刑務所は管理が厳しくて何でも差し入れができるわけではない。

インターネットというのは、人と人との出会いを作れるメディアだ。くまぇりと彼女が再会できるといったドラマチックな展開が実現することに期待したい。

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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