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通信速度の実速度での表示。固定インターネット回線への適用も求めたい

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
(写真:アフロ)

総務省が4月6日、携帯電話会社に対してスマートフォンの通信速度の広告表示を改めるよう求める方針を固めたとの発表がありました。

総務省「スマホ広告は実速度で」 冬モデルから適用 - 47NEWS(よんななニュース)

今回の方針は、各社が実際の速度とは隔たりがある理論上の最大速度を広告に表示しているものを、新たに設ける統一基準で計測した数値にして表示させるものですが、これと同じ方針を固定のインターネット回線にも適用して欲しいのです。

現在、固定回線は「フレッツ 光ネクスト」、「ギガ得プラン」、「光ギガスピード」などと、最大1Gbpsの通信速度を謳い文句にしています。

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しかし、その実際の速度はみなさんがご存知の通り、1Gbpsなど出ていません。これらはすべて、品質の保証がないベストエフォート型のサービスです。

昼と夜で通信速度に大きな差

もちろん、「1Gbpsが必ず出る」と思って契約している人はいないでしょう。しかし、「だいたいこれくらいは出るだろう」と「ある程度の速さ」を期待して契約する人が大半のはずです。

ボクもそのひとりで、昨年末に引っ越しをした際に電力系からフレッツ光の某プロバイダに乗り換えました(引越し先のマンションが電力系に対応しておらず、工事を含めて移行に1年半かかると言われたため)。

仕事柄、インターネットの速度は死活問題であるため、もちろん回線は「ギガサービス」を選択しました。

その結果待ち受けていたのが、夜間の激遅タイムです。

18時を過ぎたころから速度がどんどん低下していき、21時になると速度は1Mbpsを切ります(BNR スピードテストによる調査)。

1Gbpsの契約をしているのに1Mbps……。いくらベストエフォートとは言えこれはないんじゃないかと思いサポートに電話したところ

・その地域の通信速度が遅いのは把握しています。

・申し訳ありません。

・ただし、増設工事はできません。

・その予定も今のところありません。

との旨を丁寧に伝えられました。正直、夜間こんなにも速度が落ちると分かっていたのであれば、最初から契約することはありませんでした。

結局、そのプロバイダとは別のプロバイダと新たに契約することで、なんとか夜間も20Mbps程度の速度を確保できましたが、もとのプロバイダとは割引の縛りがあるためあと1年以上は塩漬けです。

固定回線でも実速度での表示を

こういった経験があるため、総務省にはぜひ固定インターネット回線にも実速度での表示を求めて欲しいものです。

固定回線の場合、携帯電話会社と異なり数多くのプロバイダがあるためチェックが難しいとは思いますが、消費者の選びやすさを考えるのであれば携帯電話と同等に必要だと考えます。

今回の方針にあわせた計測は全国10都市で実施されるそうですが、それにあわせて固定も行って欲しいですね。

もちろん「昼間のみ」ではなく「朝、昼、晩」の時間帯別の計測で。前述のプロバイダも昼間はそれなりに速かったのですが、夜間がアレだったので……。

遅いと認識しているサービスを、「1Gbps※」と宣伝するプロバイダは粛清されますように。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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