iPhoneとiPadが広告ブロック機能を搭載予定。iOS9の次期Safariから

iOS9搭載のiPhone/iPadのSafariからは広告が消える?

「まぁそんなに驚きはないけどイロイロ便利になるみたいですねー」でおわったかと思われたiOS9の発表ですが、Appleがとんでもない隠し球をデベロッパー向け資料に入れてました。

iPhoneとiPad標準のWebブラウザ『Safari』での、広告ブロック(非表示)機能です。

iOS 9のSafariはコンテンツブロック対応。拡張で広告ブロックなど定義を追加 - Engadget Japanese

広告ブロック。どういうことなのか説明しますと、例えば今読まれているこのYahoo!ニュースの記事から全てのバナーが表示されなくなります。つまり――とても見やすくなります。

はい、良いことです。ユーザーにとってはとても良いことです。

しかし、一方でこれが標準で搭載されると、無料でコンテンツを提供している事業者にとっては大ダメージとなります。

無料Webサービスを支える広告ビジネスモデル

皆さんが今無料で読まれているこの記事、もしくはそれ以外のニュース、サービス、ゲームなどなど、その多くは広告で稼ぐビジネスモデルです。

もちろんそれ以外にも収入源はありますが、例えば『Google』はその売上高の89%を広告収入から得ています。

広告はスマホだけではないためこれがすぐゼロになるわけではありませんが、世の中がこれからスマホにどんどんシフトしていくなかでそこから収入が得られなくなるのは大ダメージです。

もちろん、それはWebサイトだけではありません。iPhoneでは無料アプリが人気ですが、それらの多くも広告で収入を得ています。今回のは「Webブラウザ」の話ですので、アプリに影響はありませんが、将来的に大丈夫とはかぎりません。

というのも……。

Appleの売上高の約69%はiPhoneの本体代

Appleの売上高は、その多くがiPhone本体の販売代金です。次にiPad、Macと続きます。アプリや広告の売上が含まれる「Service」は全体の6%程度。つまり、iPhoneが売れるか売れないかが重要で、アプリからの売上は小さなことなんです。

アップル売上「70%がiPhone、アプリは5%以下」記憶力が悪い人のためのApple決算まとめ。 | アプリマーケティング研究所

絶好調「iPhone」販売はもろ刃の剣か--アップルQ1決算が浮き彫りにした課題 - CNET Japan

日本ではパズドラやモンストがすごい売上だと言われており、そこから30%の手数料を受け取っているAppleはどれだけ儲けているのだと思われる人もいるでしょうが、その売上はたったの6%です。

それだけiPhoneがすごいということですが、AppleがiPhoneをより売るために「アプリから広告を徐々に消していく」ことをしないとは誰も言えないでしょう。先日も、バナー広告が画面全体に出る「ウォール広告」を搭載しているアプリがリジェクト(審査落ち)されていました。

ただし、まだ拡張機能の段階

と、ここまで煽ってきましたが、今のところはまだ安心です。

今回追加される広告ブロック機能(クッキー、画像、リソース、ポップアップなどのコンテンツのブロック)は、拡張機能としての搭載です。ユーザー(とデベロッパー)がそれを選ばないかぎり、iOS9になったら全てのサイトから広告が自動的に排除されるわけではありません。

ただ、これは「今のところ」の話でもあります。Appleが、将来的に広告ブロック機能を標準で搭載することは間違いないでしょう。そのとき、広告ビジネスモデルで無料のコンテンツを提供している事業者はどうすれば良いのか?

例えば、こういうニュースサイトで記事を書いているボクのようなライターの原稿料の源泉も、広告収入であることがほとんどです。

Appleが望む世界がやってきたとき、全てのWebサイトが日経新聞電子版や朝日新聞デジタルのように購読型モデルを選択できるわけではありません。また、選択できたとしても生き残れるとはかぎりません。

スマホの世界でのビジネスモデルが、ゆっくりと変わろうとしています。これについて行ける者だけが生き残り、変わろうとしない者が死んでいく。ホント、IT業界は地獄だぜ!