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トヨタ、運転中のiPhoneのSiriを勝手に操作する交通安全キャンペーンを展開

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
アメリカでは交通事故の26%が携帯電話使用中に発生している(動画よりキャプチャ)

トヨタが面白いラジオ広告を展開しています。スマホ操作を原因とした交通事故を防ぐため、ラジオからiPhoneのSiriに話しかけて機内モードにしてしまうという交通安全キャンペーンです。

これは斬新! ラジオ広告が「Siri」に語りかけ、操作する | AdGang

Toyota: Radio Ads That Turn Off Your Phone | Digital Buzz Blog

と言っても、日本ではなくスウェーデンでの話なんですけども。

Hey Siri! 機内モードに切り替えて

iPhoneの設定で「“Hey Siri”を許可」がONになっており、さらに充電中の場合はiPhoneに話しかけて操作できます。たとえそれがラジオでも。

今回のラジオ広告は、運転中のスマホ操作の危険性をドライバーに伝え、それでもスマホ操作をやめられない運転手に向けて「代わりに私がやりましょう」とiPhoneに話しかけ始めます。

ラジオ「Hey, Siri!」

「Hey, Siri」と喋りだすラジオ
「Hey, Siri」と喋りだすラジオ

iPhone「ご用件はなんでしょう?」

ラジオの声に反応するiPhone
ラジオの声に反応するiPhone

ラジオ「機内モードをONにして欲しい」

iPhone「機内モードをオンにすると私はお手伝いできなくなります。よろしいですか?」

iPhone「本当に機内モードに切り替えますか?」
iPhone「本当に機内モードに切り替えますか?」

ラジオ「はい、電話をONにしたまま運転するのはとても危険です」

運転中のスマホの危険性を訴えるラジオ
運転中のスマホの危険性を訴えるラジオ

iPhone「はい、機内モードをONにしました」

という流れです。

この広告、実際にスマホを運転中に利用しているユーザーが「勝手に機内モードにするな!」と怒れないところが面白いですね。クレームを出すということは、運転中にスマホを利用していると白状することになるわけですから。

実際の広告が見られる動画は以下からどうぞ。

日本ではスマホ操作で追突増?

さて、それでは気になる日本でのスマホ操作を原因とした交通事故件数ですが、警察庁が発表している交通事故統計には「スマホが原因」という項目がなく、残念なことに詳細が分かりません。

交通事故発生状況(警察庁)

しかしながら、徳島県においては運転中の携帯電話使用が原因で追突事故が増えているといった報道がありました。

人身事故増加 後絶たぬ運転中の携帯使用、スマホ普及で追突増【徳島ニュース】- 徳島新聞社(2012/12/28)

また、歩いたり自転車に乗ったりしながら携帯電話やスマートフォンを操作して事故に遭い、救急車で搬送された人は東京都内だけで36人にのぼり、過去4年間で最多だったという情報もあります。

都内歩きスマホ 最多36人搬送(2014年4月29日(火)掲載) - Yahoo!ニュース

死亡例も出ていますので、(そもそも道交法で禁止されていますが)車や自転車の運転中はもちろん、歩行中も「ながらスマホ」はやめましょう。

ボク自身、横断歩道でスマホ操作中の車に突っ込まれかけて死にそうな思いをしたことがあります(幸いにも相手が直前で気付き急ブレーキをかけたのと、こちらが手前に引いたため助かりました)。死ぬ危険、相手を殺す危険を犯してまで暇つぶしがしたい人はいないと思いますので。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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