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「透析患者への偏見に対して謝罪を要求」長谷川豊氏へのオンライン署名が始まる

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
長谷川豊氏に謝罪を求めるオンライン署名のページ。筆者キャプチャ

「人工透析患者は全員実費負担にしろ」とのブログ記事が炎上し、全レギュラー番組を降板することになった長谷川豊氏に対して、全面謝罪を要求するオンライン署名が開始されました。

署名が行われているのはオンライン署名サイト『Change.org』で、奄美大島への巨大クルーズ船の寄港地建設計画を断念させたり、昨年7月に白紙撤回された新国立競技場計画の建設見直しを求めて88,000人分の署名を集めたりといった成功事例があります。

キャンペーン・長谷川豊アナウンサーの人権侵害行為に抗議し、ブログでの全面謝罪を要求します・Change.org

テレビで「透析患者なんか殺せ」と笑いながら発言した場面を見た

署名を呼びかけているのは野上春香さんという方で、ご自身の説明によると「先天的な奇形により、腎臓の発育が悪い腎低形成および腎形成不全による慢性腎不全」を患っておられるそうです。

野上さんは医師の指示に従い食事や運動の制限を守って生活していますが、病状は日に日に悪化しており「あと5%濾過機能が落ちたら透析が必要」になるとのこと。

今回、署名を立ち上げたのは長谷川豊氏がテレビで「透析患者なんか殺せと言ったら燃えた」と笑いながら発言している場面を見て憤慨し、炎上の原因となった記事やブログを確認したところ、その内容が多くの人に対して透析患者に対しての偏見を植え付けるものだったためだとあります。

透析患者はディズニーで横入りしている→できません

野上さんが問題の具体例として取り上げている内容は次の2点です。

  • 障害者(透析患者は身体障害者扱い)は遊園地で横入りしている
  • 透析患者の8割は堕落した生活でそうなった

このうち、人工透析にまで至る原因は遺伝が大きいと言われていますが、私は医療従事者・関係者ではないためこの点については掘り下げて書きません。書くのはもう1つ、「遊園地での横入り」についてです。

現在は記事内容が修正されているため確認できませんが、長谷川氏は当初ブログにてこのようなことを書いていました。

もちろん、ディズニーでもほとんど並ぶ必要がありません。だって障がい者ですから。横入りし放題です。

出典:【魚拓】自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!無理だと泣くならそのまま殺せ!今のシステムは日本を亡ぼすだけだ!! : 長谷川豊 公式ブログ 『本気論 本音論』

それでは、実際はどうなっているのでしょうか?

ディズニーに電話で問い合わせをしようかと思いましたが、検索しただけで答えが表示されたため問い合わせる必要すらありませんでした。

列に長時間並ぶことが困難な方は、待ち時間のあいだ、列の中ではなく別の場所で待機することができます。なお、ご利用いただくまでの待ち時間は、列に並んでいる時間とみなします。その間に他の対象施設をご利用いただくことはできません。

出典:【公式】サポートツール|バリアフリー|東京ディズニーリゾート

つまり「横入り」ではなく、「別の場所で待機して順番がきたら入る」が事実です。

間違いを認めないかぎり炎上は鎮火しない

上記の点について、私が確認したかぎりでは長谷川豊氏は訂正も謝罪も行っていません。

問題の記事で「該当部分を削除し、直させていただきました」と修正したことは告知していますが、これでは「どこが間違っていたのか?」、「どこに問題があったのか?」が読者には分かりません。

そして今回は、その間違っていた内容が人を傷つけるもの、障害者に対して偏見を植え付けるものでした。

ブログでは「ご迷惑をおかけした方には心より謝罪申し上げます」とありますが、これでは読者には「どういったご迷惑をおかけしたのか」が分かりません。つまり、「(長谷川豊氏が)読者に植え付けた障害者に対しての偏見」が解消されないのです。

少なくとも私は、この点についてはきちんとどこが間違っていたのかを認め、謝罪するべきだと考えます。

オンライン署名は記事執筆時点(10月9日19時)で20,000名を超えています。おそらく今日か明日には目標人数とされている25,000名を達成すると思われます。

キャンペーン・長谷川豊アナウンサーの人権侵害行為に抗議し、ブログでの全面謝罪を要求します・Change.org

この署名に対して長谷川豊氏はどう対応するのか? それによって、今後炎上が鎮火するのかさらに燃え上がるのかが決まるでしょう。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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