任天堂 スーパーマリオランの1,200円はなぜ高い? 買わなかった人たちにその理由を聞いた

(写真:ロイター/アフロ)

昨年末にリリースされ、App Store史上最速で5,000万ダウンロードを突破した任天堂のスマホゲーム『スーパーマリオラン』。Androidアプリの事前登録も始まり、「スマホ史上最速」のDL数記録が今後も伸び続けることは確実です。

ですが、その素晴らしいダウンロード数と比較して売上の方は当初期待されていたほどは上がってきていません。

アメリカの市場調査会社SuperDataは当初6,000万ドルの売上予測を立てていましたが、初動後は予測を1,200万ドル~1,500万ドル前後へと下方修正。それを裏付けるかのように、別の調査会社App Annieは配信から3日間での売上は1,400万ドルだったという調査結果を発表しました。

レビューでは☆1の最低評価が多い。筆者キャプチャ
レビューでは☆1の最低評価が多い。筆者キャプチャ

iTunesのレビューは「価格が高いこと」を批判する☆1の最低評価が過半数を占めており、そのダウンロード数の規模から「一番多く☆1評価を獲得したアプリ」という負の記録も獲得しそうな勢いです。

トップセールスランキングを見ればスーパーマリオランよりもお金がかかる基本プレイ無料のゲームの多くが人気だと言うのに、なぜマリオランだけが「高い」と言われるのでしょうか?

その理由を「マリオランをプレイしたけれど買わなかった」という人たちに聞いてみたところ、様々な「高い」という意見を知ることができました。

「スマホゲーには課金しない」

今回、調査に協力してくれた方は10代の学生が多かったのですが、意見として目立ったのは「スマホゲームには課金しない(お金を使わない)」という声です。

「スマホゲームにお金をかけるつもりはなく、内容もかけたお金に相当するとは思えません。いつもはアイテム課金の基本プレイ無料ゲームをすることが多いです。課金の経験はありません」(高校生)

「単純に高いです。1-4から最後までが1,200円はお金に余裕がないので買ってません。王国を作ったりコインの配置が変わって1つのステージを3回楽しめたりするやりこみ要素は楽しかったので欲しいと言えば欲しいですが、追加コンテンツなどの様子を見て検討したいです。ほかに欲しいものもあるし、お小遣いに余裕がなくて……。いつもはアイテム課金の基本プレイ無料ゲームを遊んでます。課金はしないようにしてて、したことがないのでマリオランに初めて課金、というのも抵抗あるのかも」(高校生)

「単純に高いってのと、コインを集めるだけなので続かないかなって言うのが理由です。あと全部のステージをコンプリートしちゃうと、何もすることないのかなーって思ったりしてます。私は広告付きの無料ゲームをよく遊んでます。アイテム課金は基本プレイが長く楽しめるやつならたまに遊びます。絶対課金しません」(中学生)

「マリオのゲームで1,200円は安いと思うんですけど、スマホのゲームって無料で楽しめるものが多いじゃないですか。だからスマホゲームは無料が当たり前という考えが自然に身についていて、払うのを拒んでしまいました。もし別のハードでマリオの新作が出たら買うと思うんですけどね」(高校生)

意見を聞かせてくれた学生の多くは「スマホゲームは無料で遊べるもの」という認識を持っており、そのなかで「無料で遊べるけど序盤だけ」というマリオランの販売方式は受け入れられていない印象を受けました。

ほかにも「買いたいけど、親に課金を禁止されてるので買えなかった」という声もありました。スマホゲームの購入は、中学生や高校生だとその親が判断するご家庭も多いようです。

また、10歳と7歳の男の子を育てているお母さん(40代女性)からは「『マリオメーカー』があるから課金してまで続けるほどではなかった」という声も。こちらのご家庭ではスマホゲームに課金したことはないけれど、ニンテンドー3DSのゲームで課金(おそらくはダウンロード購入)したことはあるそうです。そもそも「子供たちがもっとやりたいと言わなかった」という任天堂にとっては厳しい感想もありました。

「ゲームが好みじゃない」

上記以外のスマホゲームに課金するけれども買わなかった人たちからは、「値段分楽しめそうにないと思った」、「ゲームが好みではない」という声があがりました。

「きっとすぐやめてしまうので、買うのはもったいないと思ったので買いませんでした」(20代学生)

「マリオランのような反射神経を使うアクションゲームが苦手ということもあり、価格に見合った楽しさが得られないと感じたから購入しませんでした」(30代会社員)

「このゲームに1,200円払うならハースストーンやらDeemoの曲やら他のアプリに課金しようと思いました。あんまり面白くなかったです。やり込みゲーが好きな人はかなりの時間遊べるんでしょうけど、カジュアル勢はマリオなんて一通りステージクリアしたら満足して遊ばなくなりますからね。今日周りの人にも色々聞いてみたら『飽きそう』、『高い』、『面白くない』が多かったです」(高校生)

任天堂はスマホゲームをまずは無料で遊べる「フリー・トゥ・スタート」の形式で販売する方針のため、多くのスマホユーザーがスーパーマリオランをプレイでき、それがダウンロード数を押し上げました。

しかし無料でプレイできた結果、買い切り制と異なり「ほかのゲームと比較して買わない」という選択をするユーザーを生んでしまったのです。

そして、この「ほかのゲームとの比較」という部分が何よりも重要です。

ガチャに3,000円払えるのは長く楽しんでいるから

スーパーマリオランの1,200円への「高い」という声に対して、「なぜ?」と思う一番の理由はいわゆる「ガチャゲー」との金額差でしょう。ガチャゲーの10連ガチャ3,000円と比べると、スーパーマリオランの1,200円は「安い」はずです。

しかし実際に声を聞いて分かったのは、比較されているのは金額ではなくそのゲームが長く楽しませてくれるかという面白さの部分だったのです。

「学生からしたら携帯のアプリに1200円は高いです。(ガチャゲーの10連3,000円は?)その課金とマリオの1,200円はやっぱり別物」(高校生)

「課金したのはパズドラなんですけど、パズドラはずっとやってても飽きなくて楽しかったので課金し始めましたね。課金額に比べるとマリオランの1200円は安いもんですけど、マリオランは課金しないとコースも全然遊べなくてあまり楽しめなかったのでしなかったです」(高校生)

と、まずは無料で遊び、長くプレイしてみてから課金するかどうか判断していることが分かります。

この考えに合わせると、スーパーマリオランは序盤の3ステージしか無料で遊べない設計のため、面白さが充分に伝わる前に「買わない」という選択をされてしまったわけです。

任天堂は今年度、『ファイアーエムブレム』と『どうぶつの森』シリーズのスマホゲームのリリースを残しています。これらを「どこまで無料で遊ばせるか」が売上の鍵を握ることになるでしょう。