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外務省、常岡浩介さんの協力申し出を事実上拒絶-イスラム国に拘束の邦人人質救出の唯一の道が閉ざされる?

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
イスラム国に拘束されている湯川春菜さん(右)、後藤健二さん(左)
イスラム国に拘束されている湯川春菜さん(右)、後藤健二さん(左)

本日22日午後3時、ジャーナリストの常岡浩介さんが記者会見を開き、改めて「ISIS(イスラム国)との対話窓口になると呼びかけたが、外務省や警察からは連絡がない」と発言。「湯川さん、後藤さんを助ける唯一の方法は、ISISと対話することだけなのに、本当に人質を助ける気があるのか?」と疑問を呈した。

常岡さんの発言について、筆者が外務省邦人テロ対策室に問い合わせたところ、「コメントすることはない」(同室)とのことだった。これに先立ち、邦人テロ対策室に、筆者が「政府はISISと直接コンタクトできているのか?」「常岡さんと連絡を取るつもりはあるのか」と問い合わせていたが、いずれも「コメントできない」というものだった。

常岡さんによれば、彼が直接面識のあるISISのオマル・グラバ司令官の上官は、湯川さんら人質の処遇を決める立場にあり、もし自分が仲介するならば、湯川さんらを助けられる公算もあるのだという。会見で常岡さんは「人質を助けられるかもしれない方法があるのに、それをしないで人質が殺されてしまったら、外務省や警察の姿勢が問われることになる」と、政府当局の対応を厳しく批判した。

一方、菅義偉官房長官は今日午前の記者会見で、「(湯川春菜さんと後藤健二さんの)安否についてはまだ確認できていない」と述べ、日本国政府としてISISと接触できていないことを明らかにした。人質解放のための正確な期限は不明だが、ISISの動画の公開時刻を起点と考えると、猶予は既に24時間を切っている。

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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