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安保法制反対デモ、最大規模に―国会前に12万人、坂本龍一さんも参加、「安倍やめろ!」の巨大バナーも

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
安保法制に抗議する人々で埋め尽くされた国会前 撮影:志葉玲

「戦争法案今すぐ廃案!」「安倍はやめろ!」地鳴りのような怒号が周囲に響きわたる。今日30日の午後、国会前のみならず、その周辺、日比谷公園まで、安保法制に反対する老若男女で埋め尽くされた。特に国会前は、歩道に人々が収まりきらず、警察の置いた鉄柵が決壊、車道いっぱいに人々があふれていった。主催者発表によると、本日15時50分の時点で約12万人の人々が国会前での抗議活動に参加したという(周辺での参加を含むのべ人数では「35万人」という情報も)。さらに、全国では300ヶ所以上で安保法制反対の催しが行われた。安倍政権への反発は、安倍首相が考えている以上に激しいものなのかもしれない。

政府与党が来月11日にも参院での強行採決を目指すとされる中、国会前での抗議はこれまでにない盛り上りを見せた。主催の「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」実行委員の高田健さんは「過去最大と言える規模ですね」と語る。「野党からも民主、共産、社民、生活の党首が集結してくれたのも大きい。特に小沢一郎さんは今までこのような催しに姿を見せることは無かったのですが、今回は参加すべきだと判断されたのでしょう」(高田さん)。著名人では音楽家の坂本龍一さんも駆けつけ、サプライズスピーチを行い、集まった人々を驚かせた。坂本さんは、この間、国会前で安保法制反対を呼びかけている学生団体「SEALDs(シールズ)」のメンバーのスピーチに心を動かされ、活動拠点とする米国・ニューヨークからわざわざ国会前に行くことにしたという。SEALDsも今回の抗議活動に協賛・共催団体として参加。同団体の中心メンバーの一人で、沖縄出身の元山仁士郎さんは太平洋戦争での沖縄戦について言及、「(自分の)おじいちゃんやおばあちゃんから、二度と戦争をしてはいけないと伝えられた。その言葉を、思いを私達は未来の世代にも伝えていかないといけません」と訴えた。

スピーチする元山さん(中央) 撮影:志葉玲 
スピーチする元山さん(中央) 撮影:志葉玲 

この間、国会前抗議行動では、デモ参加への警察の妨害など、過剰警備が問題とされてきたが、この日は野党国会議員らが過剰警備対策で巡回。また膨れ上がった参加者数に警察側も車道を解放せざるを得なかった。国会前の最前列では、無数の風船に吊られ「安倍やめろ!」と書かれた巨大横断幕が宙を舞い、国会正門前に設けられたメインステージとは別にあちこちで「憲法守れ!」等のコールが行われ、楽器が打ち鳴らされた。国会前には人々が収まりきらなかったため、日比谷公園でも人々が集まり、スピーチを行ったり、歌ったりしていた。紛争地や開発途上国への支援を行うNGOによる「NGO非戦ネット」の長谷部貴俊さんも日比谷公園でスピーチした一人。「紛争地にいる友人達が安保法制について懸念しているます。米軍と自衛隊が一緒に戦争を行うようになれば、日本が今まで築いてきた平和国家としてイメージが一瞬にして失われることになると」(長谷部さん)。

NGO非戦ネットの長谷部さん 撮影:志葉玲
NGO非戦ネットの長谷部さん 撮影:志葉玲

今後の展開によっては、安保法制反対の抗議活動はさらに広がっていく可能性もある。今日、国会前に集まった人々の多くが、これまでに抗議活動に参加してこなかった人々であるからだ。前出の高田さんは「今回の集会にむけ、新聞広告を出しましたが、反響はすごいものでした。私達の事務所の電話はずっと鳴りっぱなし。『こういう活動に参加したことがないのだけど、どうしたらいいか』という問い合わせがとても多かったです」。連日の街頭での訴えも着実に共感を集めつつある。「総がかり行動」実行委員の菱山南帆子さんは、この夏、猛暑の中、毎日のように街頭で安保法制反対運動への参加を仲間たちとともに呼びかけた。「今日集まった人々には、そうした街頭での呼びかけに反応してくれた方々も多いのではないかと思います」(高田さん)。今後も、総がかり行動は毎週木曜日(18時半~)、SEALDsは毎週金曜日(19時半~)に、国会前で安保法制反対の抗議活動を行う予定だ。

国会前でコールする菱山さん 撮影:志葉玲
国会前でコールする菱山さん 撮影:志葉玲

国会前で安保法制に抗議する人々 撮影:志葉玲
国会前で安保法制に抗議する人々 撮影:志葉玲
国会前で安保法制に抗議する人々 撮影:志葉玲
国会前で安保法制に抗議する人々 撮影:志葉玲

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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