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自衛官の息子のために親子の縁を切ってまで安保法制廃止を訴える―「ママの会」が新宿でアピール

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
新宿西口での安保法制廃止アピール 撮影:志葉玲

今週5日、こどもの日に、安保法制に反対する全国の母親達が、東京・新宿駅西口で大規模なアピールを行った。「安保関連法に反対するママの会」の主催で、同会は安保法制の廃止を求めている。

「だれの子どももころさせない」と書かれたカラフルなバナーや風船などで飾られた街宣車の上で、全国から集まったママたちが、次々とスピーチを行った。その中の一人、北海道・千歳市から来た平 和子さんは、「私の息子は自衛官です。息子のいる千歳の基地から自衛官たちが南スーダンにPKO派遣されますが、現地の人々と殺し合いにならないか、少年兵たちと殺し合うことにならないか、とても心配です」と筆者に語る。「私がこのような発言をすることで、息子に迷惑をかけてしまうかもしれない。だから、絶縁状を送り、息子と縁を切りました。そして、この問題は息子のことだけではありません。母親達は皆、人を殺し、殺されるために自分の子どもを育てたわけではないはずです」(平さん)。

同じく北海道から参加した、椙木晃子さんも「自衛官の家族は、安保法制が施行されたことで、不安を抱えている」と言う。「知り合いが自衛隊の街・千歳で安保法制廃止を訴えた時、地元の小学生の子が近づいてきて『パパが戦争行っちゃったらどうしようって、ママが元気なくなって、ご飯もあまり食べなくなっちゃったんだ…』と言ってきたそうです」。椙木さんは「九州での地震の後、北海道からも自衛隊員が熊本県などに派遣されています。私は自衛隊には、人を助ける自衛隊のままでいてほしいと思います」と訴える。

この日は、東京や神奈川、千葉、埼玉、そして沖縄から来た母親達が安保法制廃止を呼びかけた他、絵本作家の浜田桂子さんが詩を朗読。最後には、集まった人々全員で、「戦争させない」「誰の子どもも殺させない」等とコールした。

「安保関連法に反対するママの会」は、昨年7月、3人の子の母親で大学院生の西郷南海子さんがたった一人で呼びかけたことに、各地の母親達が次々に賛同。現在では全国47都道府県に広がっている。「ママの会」では、毎週金曜の午前中に国会前で安保法制廃止を訴えている他、今月は、こどもの日の5日から、母の日である8日まで、全国各地で、さまざまなアピール、イベント等を催す予定だ*。

*詳細、予定はこちら 

https://www.facebook.com/mothers.no.war/

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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