年金、兆円単位で損失の危機―英国EU離脱による金融危機、安倍政権のエゴがリスク増大
正に激震だ。大方の予想を覆して、イギリスでの、EUからの同国の離脱の賛否を問う国民投票で、離脱派が勝利したことにより、株式市場は文字通りパニック状態になっている。昨日24日、米国や欧州、アジアの各市場で株価が急落。世界同時株安の様相を見せてきた。日本でも、東京株式市場は、08年のリーマン・ショックを超える下げ幅となるなど、株価が大暴落した。
◯金融不安で年金消失―予測されていたリスク
問題は、株をやっている人々が被害を被るわけではない、ということだ。今回の英国ショックで、私達の年金が兆円単位で吹き飛んでしまう恐れがある。2014年10月、安倍政権は、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用ルールを変え、それまで2割程度だった株式市場への年金運用を、一気に5割に引き上げた。つまり、年金運用が、より株式市場の動向に強く影響を受けるようになったのだ。株式市場が好調な時はいいが、逆に金融不安が起きると、リスクが年金を直撃するようになる。実際、昨年1月の時点で安倍政権は、今後の年金運用の最大損失額を「21兆5000億円」と見積もる想定を、長妻昭衆議院議員の質問主意書に対する答弁書の中で示していた。その後、世界的な株安による影響で、2015年度は約5兆円という巨額の損失を出したと観られている。今回の英国ショックによって、さらに年金運用での損失拡大は避けられないだろう。
◯安倍政権のエゴが招いた年金5兆円損失
莫大な額の年金損失が懸念されながら、なぜ安倍政権は、株式市場に年金資金を大量投入することにしたのか。それは、膨大な資金が流れこむことによって、日経平均株価が底上げされ、「景気回復」を演出できたからだろう。日経平均株価は、安倍政権の支持率にも大きく影響する。要するに、安倍首相は自分の支持率を維持するために、国民の大事な年金をハイリスクな金融ギャンブルにぶち込んだ、ということなのだ。舛添前都知事なんか問題にならない程の公的資金の私物化と言うべき、愚行である。
◯安倍政権の責任は?
英国ショックによる世界的な金融市場の動揺はしばらく続くものとみられる。安倍政権は、GPIFの年金運用の割合を以前に戻し、正確な損失額を明らかにするべきだ。有権者としても、一連の年金巨額損失を参院選での投票の判断材料とすべきだろう。