都心「54年ぶり11月積雪」は温暖化の影響か―トランプ氏もはまる「寒冷化」デマ
今日24日は、急激に冷え込み、都心では11月としては54年ぶりの降雪となった。さらに積雪になれば、観測史上初。まるで地球温暖化など起きていないかのようだが、実は、この冬に予測される寒さと大雪も、温暖化が関係している可能性があるのだ。
〇強い寒気を引き込んだラニーニャ現象
今回の雪と寒さの直接の原因は、強い寒気を伴うシベリア高気圧が日本上空に流れ込んできていることだ。これはフィリピンやインドネシアなど東南アジアの沖の海水温が高く、同沖上空の気圧が低下しており、北方の高気圧を引き込んでいるためだ。では、なぜ東南アジア沖の海水温が高いかというと、太平洋上の東に向かう風が強く、西側からの暖かな空気や海水が東南アジアの沖に集中しているからである。いわゆるラニーニャ現象だ。このラニーニャ現象が発生すると、世界的に様々な異常気象がもたらされるのだが、日本の場合、冬場にラニーニャ現象が発生すると、全国的に平均気温が低下する傾向があると、気象庁のデータが示している。
〇温暖化の進行でラニーニャ現象が頻発
このラニーニャ現象が何故発生するのか、その詳しいメカニズムは解明されていない。ただ、昨年1月の科学論文誌『ネイチャー』の記事によると、「陸域での温度上昇が急激に進み海域との温度差が大きくなると、強いラニーニャ現象が起きやすくなる」という。一般に陸は熱しやすく冷めやすい一方、海は熱しにくく冷めにくいとされるが、「地球温暖化が進行することで、強いラニーニャ現象が頻発する」と『ネイチャー』誌の記事は警告している。
〇トランプ氏もはまる「寒冷化」デマ、温暖化対策は急務
ここ数年、冬場に激しい寒波が米国をはじめ各国を襲ったため、「地球温暖化なんかウソだ。むしろ寒冷化が起きている」という主張をする人々がいる。米国の次期大統領とされるトランプ氏もその一人で、彼は石炭火力発電への規制などのオバマ政権が定めた地球温暖化対策を廃止しようとしている。だが、その結果、夏場の酷暑だけでなく、冬場の極寒にも悩まされるとしたら、何とも皮肉な話だ。いずれにせよ、地球の気候システムは人間が制御できるものではない。破滅的な擾乱を招かないためにも、省エネや自然エネルギーの推進など、温暖化対策を一層強化していくべきなのだ。
(了)