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元日本代表主将が見詰める今のサムライブルー

林壮一ノンフィクションライター
日本A代表のGKとして、59回ゴールを守った田口光久氏

去年の11月15日のサウジ戦で、本田、香川、岡崎というヨーロッパ組は、スタメンで出ていないんですよね。その代りに大迫や原口が頑張った。今回、ハリルは組合わせとして使いやすいんじゃないですか。今までみたいにヨーロッパ組に拘って神経質になる必要もないし、マスコミもそんなに弄らないと思うので、スピーディーなサッカーが出来ると思います。

本田たち経験者というのは、途中から投入するには使いやすいでしょう。ですから、ハリルには少し追い風になって来ているでしょうね。

ただ、そうは言ってもAWAYですし、ホームで勝ち点3を取れなかった相手です。

サウジは同じ勝ち点10ですし、下に2勝3分けでオーストラリアが3位でいます。すんなり2試合で決まれればいいけれど、中東の笛はよく分からないですよ。

ここに来て、ハリルは人間的に落ち着いたというか、自分が生きる道を探している感がありますよね。引き分けや負けだったら、残り試合が少なくなるのだから、解任だって大いにあり得る。

タイ以外は力を持っているから、他力本願になったら、そのままズルズルと沈む可能性もあるし。この最終予選は物凄く苦しんで来た訳じゃないですか。精神的な面でも、プレーも全てにおいて。もしAWAYで同じ相手で苦しんだ場合は、協会も早めに手を打たなきゃいけない。悪いイメージや空気が選手のなかでも湧き起こったら、スタメンを奪われた本田や香川が一物持って来るでしょう。選手起用って、結果が良ければ誰も文句は言わないですがね。

今は、大迫や原口に対してハリルの信頼度は高いでしょう。カズが外れて中田がエースとなって行ったような世代交代の時期ですね。自分のチームで出られていないというのは大きいですよ。

でも、本田はメンタル強さや積み重ねて来たものがAWAYで生きるだろうね。もう、セリエAには残れないでしょう。ドイツの平均以下のチームで長谷部みたいな感じでやるならOKじゃないの。もう一つポジションを後ろに下げてボランチとかね。原口からポジションを取り返すとかは難しいと思います。

香川は精神的なもの…もうちょっと態度で表すというか、アピールが必要だよね。香川、宇佐美、柴崎はメンタルに問題があります。いいものは持っているけれど、メンタルを強くしなければ。鍛えようってあるのかな…。

長友は、経験、スピードは持っているから体調次第じゃないですか。ベンチで交代要員として、そういうものを活かせばいい。酒井行徳よりも長友の方がいいよね。スピード、1対1、サイドのスペースの使い方、守備的なもの。戦術眼は、試合の流れの感覚はいいですよ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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