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東方神起の活動再開はいつ?──ユンホに続きチャンミンも兵役に

松谷創一郎ジャーナリスト
ともに兵役に入る東方神起のチャンミン(左)とユンホ(右)(写真:ロイター/アフロ)

チャンミンも年内に兵役に

 7月21日にユンホの兵役入りが確定している東方神起。入隊の準備に追われているユンホは、7月5、6日に東京ドームで行われたSMTOWNライブにも参加せず、もうひとりのメンバーであるチャンミンはソロ出演しました。

 しかし昨日、そのチャンミンの入隊も報じられました。

「東方神起」チャンミン、年内に入隊へ…義務警察に合格(『WoW!Korea』2015年7月7日)

 報道によると年内の入隊だけ決まっており、具体的な時期はまだ確定していないようです。これによって東方神起は当面活動を休止することになります。予定されていたことは言え、ファンにとっては残念なことです。

 すると次に気になるのは、今度ふたり揃った東方神起を見られるのはいつなのか、ということです

『東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH』(8月19日発売予定)
『東方神起 LIVE TOUR 2015 WITH』(8月19日発売予定)

活動再開は2017年11月?

 前述したように、ユンホの入隊は7月21日。服務するのは陸軍とのことです。この場合、兵役の期間は1年9ヶ月で、除隊予定日は2017年4月20日頃になります。

 一方、チャンミンの具体的な入隊時期は未定ですが、就くのは義務警察という部署。これは、テロ防止や検問など警備を中心とするところだそうです。期間はユンホと同じく21ヶ月。8月から12月に入隊すると、除隊するのは2017年の5月から9月になると考えられます。ユンホ除隊からちょっと遅れてチャンミン除隊という流れになります。

 しかし、ふたりが除隊して即座に活動を再開することもないでしょう。練習や新曲制作などもあり、除隊後には最低2ヶ月のインターバルを要することでしょう。すると、活動開始時期は2017年7月から2018年1月までの間だとまずは予想されます。チャンミンの入隊も早かったこともあり、当初の予想よりもかなり早い活動再開になると思われます。

 このときもうひとつ押さえておきたいことは、この2017年後半という活動再開時期です。12月末とは、日本と同様に韓国のテレビ局でも一年を締めくくる音楽番組が放映される時期です。

東方神起、活動再開までのスケジュール(筆者作成)。
東方神起、活動再開までのスケジュール(筆者作成)。

 さらに韓国では、年明けに大きなイベントが待っています。それが2018年2月9日から25日にかけて開催される、平昌オリンピックです。

 韓国でオリンピックが開かれるのは1988年のソウル以来30年ぶり2度目、冬季は初めてのことです。国を上げてのこの大きなイベントにおいて、ソフトパワー政策を積極的に推し進める韓国は、官民をあげて積極的に自国のポップカルチャーも宣伝することになるでしょう。

 K-POPは韓国のソフトパワー政策においてとても重要なプレイヤーでもあり、そのK-POPを牽引するSMエンタテインメントのトップグループ・東方神起が、オリンピック時期に活動しないはずがありません。

 そうすると、具体的なスケジュールも見えてきます。活動再開は、おそらく2017年11月になるでしょう。年末の音楽番組を経て、オリンピックで世界中にK-POPをアピールする東方神起の姿が見られるのではないでしょうか。

SMエンタテインメントは苦境に?

 SMエンタテインメントにとって、東方神起の2年にわたる活動停止は大きな痛手になることは間違いありません。

 つい先日は、同社所属のf(x)からソルリの脱退が報じられたばかり。SMエンタ側は否定しましたが、SMTOWNライブでもf(x)はソルリを除いた3人で出演しました。また、5月くらいから脱退が噂されていたEXOのタオは、個人事務所を開設して、ますますEXOから遠のきつつあります。

少女時代「Party」
少女時代「Party」

 少女時代も昨年ジェシカが脱退したこともあり、同社所属のアーティストはさまざまな変化に襲われています。つい最近発表した新曲「PARTY」では、ビーチでの水着姿を披露しました。現在のK-POPでは、EXIDやAOAなどセクシー路線がひとつの潮流となっていますが、少女時代もそこに乗ったと言えるかもしれません。

筆者作成
筆者作成

 現在、SMエンタテインメントで安定した活動を続けているのは、SUPER JUNIORとSHINeeくらいです。しかし、それも今後ずっと安定していることが約束されているわけではありません。東方神起が活動を再開する2018年、SHINeeのオンユは数え歳で30歳になり、入隊が予想されるからです。

 若手のボーイズグループのEXOは人気があるものの脱退騒動が相次ぎ、ガールズグループのRed Velvetはいまいちパッとしません。SMエンタテインメントの艱難は、これからも続きそうです。

上下関係が重視される韓国社会

 最後にひとつ、韓国の兵役について私が耳にしたことのあるエピソードを付記しておきましょう。

 韓国では数え歳で30歳(実年齢で29歳)までに兵役に就かなければなりませんが、実際は高校卒業後の20歳前後で入隊するのが一般的だそうです。高卒の場合は卒業後すぐに、大学生の場合は大学を休学して兵役に就くのだとか。

 よって、東方神起のユンホやチャンミンのように20代後半になって兵役に就くのは、あまり多いケースではありません。

 そして、兵役に就くと最初はいちばんの下の階級から始めなければなりません。そこから徐々に軍隊における地位が上がっていき、除隊直前には兵役の中で最高階級になるそうです。韓国社会において上下関係や社会的な地位(役職)が重視されるのは、徴兵制度によって軍隊における階級制度を国民のほとんどが経験しているからでもあります。

 一方、韓国は年齢もすごく意識する社会でもあります。知り合った者同士は、まず相手の年齢を確認し、そしてタメ口で話すかどうかを決めます。テレビ番組でも見られるくらいなので、こうした作法にはそうとう気を遣うのでしょう。日本の体育系社会の作法が、社会全体に一般化しているような状況だと考えるといいかもしれません。

 そういえば、友人の韓国人男性に聞いたのですが、20代前半の彼が入隊して1年ほど経ってから、20代後半の男性が入隊してきたそうです。一般社会なら決してタメ口で話すことはできない年上、しかし軍隊では自分のほうが上の階級──こうした状況になったそうです。友人曰く「いやー、困りましたよー(笑)」とのこと。

 韓国の芸能人が20代後半に入隊することは珍しいことではありませんが、ユンホやチャンミンも特別扱いされず、下っ端から始めなければなりません。周囲はもちろん東方神起のことは知っていながらも、彼らに軍の規律を求めなければなりません。本人も大変ですが、彼らを迎える周囲も大変なのです。

ジャーナリスト

まつたにそういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com

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