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季節外れの台風27号の動向は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

台風27号は今年最強の台風へ

雲の様子をご覧下さい。

台風27号は中心付近に針で刺したような鋭い小さい眼が見えており、台風としての勢力が非常に強くなっていることを現しています。一般に、台風は眼を伴うほど勢力が強く、しかもその眼が小さいほど中心付近の風が強いことを現します。

鋭い眼を持つ台風27号
鋭い眼を持つ台風27号

台風27号はきょう(19日)午前9時現在、中心気圧920hPa、最大風速55メートルとなっており、今年発生した台風の中で、台風11号、台風19号に次いで、3個目の猛烈な台風へと発達しました。更に、あすには中心気圧910hPa、最大風速60メートル(最大瞬間風速85メートル)の今年最強の台風へと発達し、最盛期を迎える予想です。

台風26号と27号の違いは速度

台風の進路予想
台風の進路予想

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台風27号は21日(月)に北緯20度を超えるあたりまでは猛烈な勢力で北上しますが、その後は徐々に勢力を落とし、24日(木)頃に西日本の南海上へと進む予想です。

台風27号は大きな被害をもたらした26号とほぼ同様の進路で日本の南まで北上しますが、今のところ、決定的に違うのはその速度です。

台風26号が北緯20度を超えてからわずか2日あまりで日本列島へと接近したのに対し、台風27号は3日経ってもまだ西日本の南海上をゆっくりと北寄りに進んでいる予想です。これは台風26号の時と比べて上空の風が弱まってしまうためですが、いずれにしても最終的には偏西風に流されて北東方向へと進み、本州の南岸から関東や伊豆諸島へと進む可能性が高いと思われます。それは早ければ木曜日の可能性もあるし、遅ければ金曜日いっぱいかかってしまう可能性もあるでしょう。台風27号はかなりの長丁場となりそうです。それだけ、大雨などが長引く可能性もあります。

季節外れの台風襲来

ところで、来週はもう10月下旬ですが、さすがにここまでくると、季節外れの台風襲来と言っても過言ではありません。

台風の本土への接近、上陸数
台風の本土への接近、上陸数
上陸台風の遅い記録
上陸台風の遅い記録

台風の統計のある1951年~2012年までの62年間で、本土(本州、九州、四国、北海道)に接近した台風の総数は338個。このうち10月上旬~中旬に接近した台風は37個ありますが、10月下旬以降となるとわずかに8個しかありません。そのうち、上陸まで至った台風は2個のみです。まさに来週は季節外れの台風襲来とも言えます。

暖湿気と寒気の衝突型の大雨に警戒

一方、この時期の台風の特徴と言えば、やはり台風の暖湿気と北からの寒気との衝突による大雨。特に、地形的に大雨となりやすいのが関東や伊豆諸島です。上記10月下旬以降に接近した8個の台風のうち、5個は関東の南を通過したのですが、伊豆大島ではいずれの台風でも100ミリ~200ミリの大雨が降っています。中でも一番ひどかったのが1981年10月22日に接近した台風24号。

1981年台風24号
1981年台風24号

この時、伊豆大島では日雨量403ミリ(最大6時間雨量239ミリ)という記録的な大雨となりました。来週接近が予想される台風27号でも、伊豆諸島や関東では寒気と台風の暖湿気が衝突する可能性が高く、更なる大雨が心配される状況です。

(上図は気象庁発表資料に加工了承済み)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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