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首都圏の平野部ではうっすら程度か?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

今回の南岸低気圧の性質は?

先月、関東甲信地方に記録的な大雪をもたらしたのは、日本の南を通過する南岸低気圧でした。この低気圧は発達の具合いや上空の寒気の強さなどにより、雨か雪か?また大雪になるかどうか?などが微妙に変わってきます。

100通りの南岸低気圧があれば100通りの異なる結果が待ち受けている、まさに十人十色状態と言えるようなものなのです。

ところで、前回、前々回の大雪の時は、この南岸低気圧が急速に発達しながら関東の南に接近したことや、上空の寒気がかなり強かったことなどにより、記録的な大雪(豪雪)となりました。

2月8日の大雪予想

2月14日~15日の大雪予想

では今回はどうか?

南岸低気圧はあまり発達することなく関東の南海上を通過する予想
南岸低気圧はあまり発達することなく関東の南海上を通過する予想

上空のトラフ(気圧の谷)があまり深くないため、低気圧はさほど発達することなく、2日の夜には関東の南(八丈島付近)を通過する見込みです。

あまり発達せずに、陸地からやや離れて通過する分、雨雲の主力は南海上を通過しそうで、この低気圧に伴う降水量は、東海~関東南部で10~20ミリ程度、山梨県や関東北部でおおむね10ミリ以下の予想となっています。

低気圧が北にぶれればもう少し上乗せがあるかもしれませんが、そのような場合でも、先日のような記録的な大雪の時と比べればかなり少ない降水量と言えそうです。

雪はどれ位降るのか?

一般に、南岸低気圧で降る雪は平野部で1ミリ1センチ程度、気温の低い山沿いや山地では1ミリ2センチ程度のことが多いものです。

先月の大雪の時のように降り始めから雪になれば、関東の平野部でも10センチ以上の積雪が発生することも考えられますが、今回は上空の温度場が比較的高く、平野部で雨から雪に変わるとすれば、寒気を引っ張り込んでくる2日夜になってからとみられます。

低気圧に伴う降水はこの時間がピーク。山沿いは雪。平野部では冷たい雨が主体か?
低気圧に伴う降水はこの時間がピーク。山沿いは雪。平野部では冷たい雨が主体か?

ただし、この時点で低気圧に伴う降水現象はすでに半分程度は終わっていると予想で、仮に関東平野部で雪に変わったとしても、最大数センチ程度(うっすら)の積雪で終わる可能性が高いと思われます。

なお、東京23区に関して言えば、冷たい雨やせいぜいみぞれで終わる可能性が高く、仮に予想以上に気温が下がり、雪になったとしても、積もるような確率はかなり小さいとみられます。

山沿いは10~20センチ程度か?

一方、最も降雪が見込まれているのが先日豪雪に見舞われた富士五湖、箱根、奥多摩など、山梨県から関東南部の山沿いにかけて。

降水量や気温の予想から10~20センチ程度の降雪となる可能性は十分にあります。

先日のような極端な大雪となるおそれはほぼないものの、積雪に伴う交通障害などが発生する可能性があるため、注意を要します。

雪は2日夕方~夜にかけてピークとなりますが、3日の未明には峠を越える見込みです。

なお、上記の見立ては1日午前10時現在の予測資料をもとに判断しています。

予想される降雪量などは、気象庁発表の最新情報をご確認下さい。

気象庁発表の雪に関する情報

(上図は気象庁発表資料に加工了承済み)

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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