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東京は過去にないような大失速の8月?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

8月は記録的猛暑から一転秋に

2015年
2015年

今年の夏は当初の予想よりも太平洋高気圧の勢力が強く、特に7月下旬~8月上旬にかけては各地で大変な暑さに見舞われました。

特に関東地方では記録的な猛暑が続き、東京は7月31日~8月7日まで8日連続の猛暑日を記録しました。東京の8月上旬の最高気温の平均は34.7℃と平年より3.6℃も高く、これは8月上旬としては1994年の35.1℃に次ぐ、観測史上2番目に高い気温です。ちなみに34℃以上を記録した年は、この他に2002年(34.4℃)、1995年(34.6℃)の合計4回しかありません。(統計のある1876年以降)

ところで上記のグラフをご覧いただくと、8月中旬には記録的な猛暑は収まりましたが、それでも最高気温の平均は31.5℃で、平年よりはまだ0.6℃高くなっています。

8月下旬の入りも比較的高温でしたが、昨日と一昨日(25日と26日)の最高気温は22℃前後と一気に10月上旬~中旬並の肌寒さとなりました。

きょう(27日)はやや持ち直しましたが、それでも27.3℃と9月中旬並みの涼しさとなっています。これで8月下旬の最高気温の平均はきょう27日までで27.8℃となっており、平年より2.7℃も低くなっています。そしてこのあともオホーツク海高気圧や停滞する前線の影響で、今月いっぱいはきょうの様な低温状態が続く見込みです。

気象庁発表の週間予報

もしこの予想通りに8月下旬が推移すると、最高気温の平均は8月上旬から下旬にかけて6℃~7℃もダウンすることになり、これは8月上旬が大猛暑だった過去の年にはなかったようないわば「大失速の8月」とも言える状態となります。

きょう発表された気象庁の1か月予報によると、来週にかけての気温は全国的に低い傾向が続きますが、その後は持ち直し、9月中旬以降は平年よりも高い傾向となる予想です。

気象庁発表の1か月予報

8月上旬が記録的猛暑だった過去3回の年は?

1994年の8月
1994年の8月

1994年8月上旬の最高気温の平均は35.1℃で、これは8月上旬としては観測史上1位の記録です。10日間平均して35℃以上もあるのはこの年1回しかありません。

この年は8月中旬のお盆過ぎまでは猛暑が続きましたが、8月20日過ぎに数日間低温となり、その後はまた30℃以上の厳しい残暑が復活しています。

1995年の8月
1995年の8月

1995年8月上旬の最高気温の平均は34.6℃で、1994年、2015年に次ぐ3位の記録となっています。そして、この年の特徴はなんといっても8月下旬にかけて切れ目なく暑さが続いたこと。東京はもちろん、この年の8月は全国的に記録的な大猛暑となりました。

2002年の8月
2002年の8月

2002年8月上旬の最高気温の平均は34.4℃で、4位の記録となっています。この年はお盆を過ぎた頃から1週間程度低温の状態となりましたが、最後の1週間は再び持ち直し、30℃以上の残暑が続きました。

低温の期間が中旬と下旬にまたがっているため、記録上はこの低温がやや相殺されてしまっており、最高気温の平均は8月中旬が31.6℃、下旬が30.6℃とともに30℃以上となっています。ただ、お盆過ぎの失速は今年と少し似ているかもしれません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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