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トリプル熱帯擾乱(2つの台風と1つの熱帯低気圧)の行方は?

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
2つの台風と1つの熱帯低気圧の雲(気象庁HPより)

昨日(19日)午後3時、フィリピンの東海上で台風9号が発生し、午後9時には伊豆諸島近海で台風10号が相次いで発生しました。

さらに日本の東を北上している熱帯低気圧が今後台風(11号)となりつつ、北日本へ接近する見込みとなっています。

もし台風11号が発生すれば、これで台風2号が7月24日に発生してから、わずか1か月足らずの間に10個の台風が発生することになり、台風の発生が記録的に少なかった7月中旬までとは一転した状況が続いています。

台風(11号)は発生していきなり上陸も?

今後台風となり東北へ接近する見込み(20日午前3時現在)
今後台風となり東北へ接近する見込み(20日午前3時現在)

相変わらず、日本のはるか東海上で高気圧の勢力が強いため、日本の東にある熱帯低気圧はこの高気圧の縁辺を回るように今後は西寄りに進み、今夜までに台風(11号)となって、東北地方に接近する見込みです。西よりに進んでくれば、いきなり上陸する恐れもあります。

その後、日曜日にかけて、北海道方面へ北上する予想ですが、この熱帯擾乱に加え、北海道には前線が停滞しているため、この前線の活動が活発となり、記録的な大雨となる恐れがあります

北海道は先日の台風7号でも記録的な大雨となった所があり、今後の雨の降り方に厳重な警戒が必要です。

台風9号は週明けに東~北日本を北上へ

週明けに東~北日本を北上する予想(20日午前3時)
週明けに東~北日本を北上する予想(20日午前3時)

台風9号は現在小笠原の南を北上しています。今後は比較的速い速度で北上し、週明けの月曜日には関東など東日本に接近し、上陸する恐れがあります。

今の予想だと、関東など首都圏には、月曜日の夕方~夜にかけて最も近付く計算で、月曜日は帰宅の足に大きな影響が出るかもしれません。

なお、その後、火曜日にかけて再び北海道方面へ北上する見込みで、東日本や北日本の広い範囲で大雨となる恐れがあります。

特に雨雲が東日本~北日本にかけて、南北方向に突っ立て停滞するような場合は、激しい雨が長時間続き、記録的な大雨となる恐れもあります。また台風自体はあまり強くはならない予想ですが、暴風や高波、竜巻などの突風にも警戒が必要です。

台風10号は西日本の南で停滞したあと、どこへ?

台風10号は西日本の南で停滞気味に(20日午前3時現在)
台風10号は西日本の南で停滞気味に(20日午前3時現在)

そして、今後の予想進路が最も難しいのが台風10号です。

この台風は発生時に日本付近で少し上空の高気圧が強まったために、北上することなく、西寄りに進んでおり、今後来週前半にかけて、西日本の南海上で停滞するような形となりそうです。

これは西日本の南海上まで進んだあと、上空の流れがほとんどなくなってしまい、どこへも進めないような状況に陥ってしまうからです。ただしばらく停滞したあとは、来週の後半にかけて、沖縄方面へ進むか、西日本へ北上する可能性が大きいと思われますが、関東などへUターンするような進路をとる可能性も残っています。

また台風10号は海水温の高い日本の南海上で動きが遅くなるため、ジワジワと発達し、かなり大きく、しかも強い台風へと発達する可能性もあります。

台風(11号)と台風9号が列島を進んだあと、来週後半にかけて、今度は台風10号の動きに十分な警戒が必要です。

なお、台風9号と台風10号は日曜日~月曜日にかけて、その中心が1000キロ程度まで近付く状態が続くため、お互いに干渉しあって(藤原の効果)、複雑な進路をとる可能性もあります。

今後も最新の台風情報に十分注意して頂きたいと思います。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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