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風格と円熟、そして輝き。『いいかげん★で35周年 近藤真彦』

杉谷伸子映画ライター

2014年12月12日にデビュー35周年イヤーに突入した近藤真彦が、その記念すべき日に東京・丸の内のライブレストランCOTTON CLUBでプレミアムライブを開催。ライブに先立ち、業界関係者を招いた公開ゲネプロが行われた。

『いいかげん★で35周年 近藤真彦』と題したデビュー35周年スタート記念プレミアムライブは、歌手としてのみならず、ひとりの粋な男としての魅力に改めて痺れさせるものだった。

「カチカチになって肩に力を入れて、真面目を通して35年やってきたわけでもなく、多少このステージのタイトルのとおり、いいかげんなところもありまして。いいかげんなところがあるのも僕らしいのかなと(笑)」と笑わせつつ、「そんなにいいかげんにやってきたわけじゃないんで」と35周年への思いを語ったライブは、デビュー曲『スニーカーぶる〜す』をはじめとして、アイドル時代の名曲も交えながら、1曲目の『愚か者』からアンコールの『夕焼けの歌』まで大人な歌もたっぷり聴かせる。さらに、デビュー前に合宿所で暮らしていた時代から、先日の『2014FNS歌謡祭』の舞台裏までを、近藤のライブの楽しみのひとつでもある洒脱なMCでも楽しませるという具合に濃密。公開ゲネプロとはいえ、客席には黒柳徹子内館牧子佐々木主浩、そしてTOKIO松岡昌宏の姿もあるあたりも、デビュー35周年突入のアニバーサリーの日ならではの華やかさ。

「22歳で『愚か者』を歌ってたと思うと、ぞっとしますけれども(笑)。それを考えると、『ギンギラギンにさりげなく』にしても、『スニーカーぶる〜す』にしても、50歳になってもしっかりと歌っていける曲を作っていただけたということ、非常に感謝しております」という言葉どおり、10代の頃に歌っていた曲も、現在の近藤が歌うと、観客の胸にもたんに当時の記憶が蘇るだけでなく、また違う表情を見せてくれる。その深みも味わいも「ほんとに簡単な35年周年ではありませんでした。35年はあっという間ではなかったですね」という近藤が重ねてきた時間があるからこそ。

主演映画『ブルージーンズメモリー BLUE JEANS MEMORY』の挿入歌『恋のローラースケーター』をスペシャルゲストの野村義男と一緒に歌い、さらに野村の哭きのギターで『スニーカーぶる〜す』や『うそのない言葉』などを熱唱。10代をともに過ごした男たちがそれぞれの道を突き進み、デビュー35周年のスタートの日にともにステージに立っているということの素晴らしさ。その感慨を、近藤の楽曲の繊細な音の魅力をいかんなく響かせるCOTTON CLUBという上質なライブ空間が際立たせていた。

「何ができるかわかりませんけれども、36年、40年に向かって頑張っていきたい」という近藤。その風格と円熟、そして輝き。近藤真彦は、これからも特別な存在であり続ける。

映画ライター

映画レビューやコラム、インタビューを中心に、『anan』『25ans』はじめ、女性誌・情報誌に執筆。インタビュー対象は、ふなっしーからマーティン・スコセッシまで多岐にわたる。日本映画ペンクラブ会員。

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