ドネア対リゴンドー、スーパーバンタム級頂上決戦

杉浦 大介 | スポーツライター

4月13日 ラジオシティ・ミュージック・ホール

WBO世界スーパーバンタム級王者

ノニト・ドネア(31勝(20KO)1敗)

WBA世界スーパーバンタム級王者

ギジェルモ・リゴンドー(11戦全勝(8KO))

Photo by Jemini Keez

階級最強を決める対決

アブナー・マレスがフェザー級転向を発表した今、ドネアとリゴンドーとの対戦がスーパーバンタム級最強決戦であることに異論のある関係者はほとんどいないだろう。

すでに4階級を制覇して来たドネアと、アマチュアで輝かしい実績を残した後、プロでも世界タイトルに辿り着いたリゴンドー。2人の実力派王者が、王座統一戦という形でラジオシティ・ミュージック・ホールで激突する。

80年の歴史を誇るラジオシティで、ボクシング興行が行なわれるのは2000年1月15日のロイ・ジョーンズ対デビッド・テレスコに続いて2度目。ドネアもアメリカではまだ人気選手とは言えないだけに、集客にはやや苦戦する可能性もある(ラテン系にファン層を持つマレスとの対戦がリゴンドー戦よりも待望されて来た理由の1つはそこにある)。それでも文句なしの大舞台であることは間違いなく、試合が近づけばマンハッタンでも話題になるに違いない。

「ニューヨークでの僕の仕事は終わっていない。前回はニューヨークでは良い試合ができなかったから、今回こそはという気持ち。ナルバエスとリゴンドーは似たタイプだと思っているけど、僕もナルバエス戦から多くを学ぶことができた。準備はできているよ」

同じニューヨークでのマディソンスクウェア・ガーデン・シアターで行なわれた一昨年10月のオマー・ナルバエス戦では、消極戦法に終始した相手に、ドネアは見せ場を作れないまま判定勝利に終わった。その雪辱の場として、“史上最高のアマチュア”とまで呼ばれた相手との対戦は絶好の舞台だと言って良い。

ドネア有利も、アマ最強の男は脅威

現時点で予想をすれば、やはりプロでの実績で断然勝るドネアが有利と考えざるを得ない。2013年は4戦4勝でアメリカ国内の多くの主要媒体から年間最優秀選手に選ばれたドネアは、30歳の今がフィジカル的にピーク。昨年10月の西岡利晃選手では相手に突破口を与えない上手さを、12月のホルヘ・アルセ戦では爆発力も見せた。プロ入り後のリゴンドーは打たれ脆さを垣間見せているだけに、長いラウンドに渡ってドネアの爆発的なパワーを避け続ける姿を想像するのは少々難しい。

ただ、そうは言っても、アマ通算243勝4敗、オリンピック2連覇など数々の実績を積み上げて来たリゴンドーはやはり脅威の存在である。ときに大凡戦もやらかすが、キューバの元アマチュアらしく客を喜ばせようという気など毛頭ないというだけのことであって、それがこの選手の弱みにはならない。

空間掌握力に秀でたリゴンドーは、いわゆる“勝ち方を知った選手”であり、勝利だけを目標にリングに上がるタイプに思える。

一方、勝つだけでなく、ファンに上質のエンターテイメントを提供したいと考えるドネアは、そんな姿勢ゆえに業界内で好感を持たれている。ただ、百戦錬磨のリゴンドー相手にはそういったサービス精神は裏目に出ることもあり得るかもしれない。前記したニューヨークへのリベンジの想いもあって、ドネアは中盤以降は積極的に出て行くはず。そこで、キューバ人の伸びて来る左ストレートをまともに浴びるようなことがあれば・・・・・・

ドネアは最強の相手は西岡だったと主張するが・・・・・・

「アマチュアの実績は素晴らしく、ナチュラルな強さを持つ選手。マレスは前に出て来るだけだけど、リゴンドーはサバイブもできる」

発表会見の席で、ドネアは今回の相手をそう分析。しかし、さらに「リゴンドーはこれまでで最強の相手だと思うか?」と突っ込まれると、「いや、そうは思わない」と返答していた。

「過去最高の相手は西岡だ。楽な試合に見えたかもしれないけど、西岡の左ストレートの射程外にいるのは簡単ではなかった。精神的に疲弊させられるファイトだった。リゴンドーのプロでのキャリアを考えれば、彼が僕に挑むに値する実績を残して来たとは思っていない」

リゴンドー戦が終わったあと、ドネアは依然として西岡を“最強のライバル”に挙げるのか。あるいは答えは変わるのか。

その驚異的なアマ戦歴とは裏腹に、アメリカ国内ではリゴンドーの注目度は必ずしも高いとは言えず、商品価値はほとんどゼロに近い。ファンベースも存在せず、昨年1月のリコ・ラモス戦ではチケット375枚しか売れずに失笑を買ったほど。ドネアにとって、“ハイリスク、ローリターン”の典型と言えるこの1戦は、いったいどんな結末を迎えるのか。

会見前には薬物検査の方法で紛糾(注)したこともあり、試合は様々な意味で話題を集めることになりそう。ハイレベルな展開の末、スリリングで戦慄的なフィニッシュが目撃出来そうな予感も漂う。それだけに、これ以上のアクシデントもなく、とにかく無事に試合が行なわれることを願うばかりである。

(注) ドネア側がVADA(Voluntary Anti-Doping Agency)の薬物検査を義務づけることを主張し、一方でリゴンドーはUSADA(米国アンチ・ドーピング機構)の検査を望んだ。結局は両選手が両方の検査を受けることで合意している。

杉浦 大介

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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