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「今は成長しなければいけない時期」 渡邊雄太(ジョージ・ワシントン大)デイトン大戦後インタヴュー

杉浦大介スポーツライター

Photo By GW Athletics

2015年2月6日

ジョージ・ワシントン大(17勝6敗)65-64(OT)デイトン大(17勝5敗)

渡邊雄太 22分出場し、5得点((FG1/3、FT2/2、3PT1/2)、1リバウンド、0アシスト、0ブロック、1ターンオーバー

ジョージ・ワシントン大はOTで一時は62-56とリードを奪うも、そこからデイトン大の7-1のランで逆に1点のビハインドとなる。しかし最後はジョー・マクドナルドのプットバック・ブザービーターで劇的な逆転勝利。アトランティック10カンファレンス2位の強敵との重要な一戦を制し、ホームでは今季10戦全勝(昨季から通算12連勝)となった。

反省点も多い勝利

ーー2連敗の後に上位の相手と地元で対戦ということで、絶対に負けられないゲームだった。とりあえず勝てて満足?

YW:正直言って、満足は・・・・・・勝ったんで良かったですけど、満足はみんなしていないと思います。

ーー確かに反省点も多いゲームだった。

YW:ロードアイランド大戦のときからフリースローの確率が悪くて、今日も大事なところでみんな外してしまった。フリースロー1本1本が凄い大事なんで。あとは終盤にコーチが指示したことを僕たちがきちんとできなかった。特に最後の場面ですね。

ーーOTで2点リードしながら残り12.9秒でスリーを決められて、一端は逆転を許したところかな。

YW:僕はあのときはベンチにいたんですけど、あそこは2点はまだ良いけど、スリーだけは絶対に打たすなという指示でした。にも関わらず、相手の一番良いシューターに完全にノーマークで打たれてしまった。今日はああいう大きなミスが目立ったことが、延長で勝てるかどうかというギリギリの試合に繋がってしまったと思います。

ーー後半も残り5分弱で52-45とリード、OTでも一時は6点を勝ち越したのに、追いつかれた。もしも負けていたらかなりダメージは大きかっただろうね。

YW:負けてたらちょっと大変でしたね(苦笑)

ーーただこうして地区内でも上位の相手に劇的な形で勝ったことで、チームには勢いは出るかな。

YW:そうですね。とにかく勝つということは大事。勝たないとみんなモチベーションも下がってきますし、悪いところが目立った中でも最後きっちり勝てたのは凄い良かったなと思っています。

ーー最後に逆転ブザービーターを決めた3年生のジョー・マクドナルド選手がジョージ・ワシントン大のチームリーダーなのかなという印象を受けるけど。

YW:PGなんで、コート上では彼が一番リーダーシップを発揮してくれています。キャプテンは4年生のジョン・コプリバなんですけど、コーチもPGがリーダーにならなければいけないと言っていますし。(ジョーは)いつも僕たちを引っ張ってくれています。

個人的にも試練の時期

ーーさて、今日の自分自身のパフォーマンスは。

YW:もう最悪です。

ーー貴重なスリーも決めたし、随所に良い仕事もしていたと思うけど、波に乗れなかった理由は?

YW:ここ最近ずっとなんですけど、A10のカンファレンスゲームに入ってから相手のスカウティングも相当きつくなってきて、今まで自分ができていたプレーが一切できないようになっている。特にスリーポイントは簡単に打つことができない。今日1本決めたのはフリーになっていたんで、決めないといけないシュートを決められて良かったです。ただ、3本目のシュートはセレクションも悪かったですし、それを外して、その後に相手に走られて、ダンクを決められて・・・・・・かなりチームに迷惑をかけたなと感じています。

ーー確かに1月10日まで6試合連続で二桁得点のあと、最近は得点が止まっている(注/ここ7試合連続一桁得点)。相手のレベルが上がっているのと同時に、やはりスカウティングが大きい?

YW:日本から来た僕の情報は今まではほとんどなかったと思うんですけど、いろいろこっちの新聞とかにも取り上げられだして、相手チームも注目しだして、「あいつにプレーさせるな」みたいな感じになっていると思います。

ーー「ワシントンポスト」「ニューヨークタイムズ」といった大手メディアに取り上げられると、良いことばかりじゃない。警戒されてしまう(笑)

YW:そうですね(笑)

ーーシュートタッチの不調、あるいは1年目のシーズンも後半を迎えて疲れが出ているとか、そういうことではない?

YW:疲れはあるんですけど、それはみんな一緒。相手チームも一緒ですし。シュートが今入っていないのは、打つときに相手(のディフェンス)に付かれてのシュートになっているから。コーチからもそういうシュートは入らないと言われています。もっとディフェンスを振り切って、スペースを空けた状態で打つ。あともう少しドライブの技術を増やしたりとか、いろいろな部分で今は成長しなければいけない時期だなと感じてます。

反省して、集中して、また前に進む

ーーディフェンス面では今日はどうだった?

YW:相手はメインで試合に出ている選手は7人しかいなかったんで、コーチもファウルトラブルになれば有利になると言っていました。だから最初に2つのチャージングを取れたのは良かったですし、1-3-1のゾーンのときも悪くはなかったとは思います。ただ、マンツーマンに戻ったときに、さっき言ったようにスリーを外して、その後にディフェンスで僕のところからダンクをやられてしまった。

ーー実際にあそこで一時的に流れが変わってしまった感もあった。

YW:あとは(OTの)最後にチャージングを取りにいってファウルを貰ってしまったところですね。あれは絶対にやってはいけないプレー。ファウルをするなら、相手にシュートを打たさないくらい思い切りファウルしなければいけなかった。

ーー残り時間少なくて、6点をリードしている状況であれば特に。

YW:はい、今日はちょっとオフェンスもディフェンスも全然ダメでしたね。

ーーだとすれば、なおさらチームが勝って本当に良かった。強いチームと続けて対戦しているので、精神的なプレッシャーもある?

YW:この間2連敗して、プレッシャーというより、チームが精神的にダメージを受けました。ちょっと良くない雰囲気だったときもあったんで、今日の勝ちは精神的に大きいです。これからもタフなスケジュール続きますけど、平常心で、いつも通りプレーできたら良いなと思っています。あまり考え過ぎず、今日悪くても、反省して、それでいて次の試合のときは頭をリフレッシュして、また集中してやっていけたらなと。

ーー苦しむ中から得るものもある?

YW:日本に残っていたら、こういう経験は絶対できていない。身長、技術、身体能力のどの部分でも、日本にいたらより簡単にプレーできていると思うんですけど、こっちで自分より凄い人たちと毎日一緒に練習して、試合している。今は壁に当たっているなと感じているんですけど、それも分かってここに来ています。これを乗り越えられたらもっと良い選手になっていけるんだろうなと感じているんで、しっかり反省して次に繋げていきたいです。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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