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【NBA】ジェイソン・キッドの指導を受ける新人王争いのダークホース マルコム・ブログドン(バックス)

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

マルコム・ブログトン(ミルウォーキー・バックス)

1992年12月11日生まれ、24歳

バージニア大でプレーした後、今年度ドラフト2巡目36位でバックスに入団した。開幕直後から控えのプレーメーカーとして安定感を披露。昨年末にマシュー・デラベドーバの故障離脱以降はスタメン出場し、12月31日のブルズ戦では自己初のトリプルダブル(15得点、12アシスト、10リバウンド)もマークした。その成熟したプレーぶりから、”2016年度のドラフト組では最大の掘り出し物”として脚光を浴び始めている。

キッドHCが厳しいのは、高く評価してくれているから

ーー今季の君の働きはリーグのサプライズの1つになっていて、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)がいなかったら新人王候補筆頭だったとまで言われている。いきなり活躍できていることを自身でも少し驚いている?それともこれくらいやれると思っていた?

MB:自分自身に大きな期待を抱いていたのは事実だ。NBAでもすぐに貢献できるとは思っていたよ。ドラフトされた直後にはバックスというチームに自分がフィットするかどうかは定かではなかったけど、ここまでは上手くいっているね。素晴らしいチームメート、コーチにも恵まれた。僕に機会を与えてくれたことには感謝しているし、自分の役割を最大限にこなすように務めている。

ーー1月2日のオクラホマシティ・サンダー戦では終盤のフリースローを堂々と決めて勝負を決定づけるなど、君のコート上での冷静さはルーキーとは思えない。カレッジで5年生としてもプレーするなど、バージニア大で長い時間を過ごした経験は今に生きている? 

MB:それは間違いないね。カレッジで4〜5年を過ごすと、選手として、人間として成熟できる。その期間に、自分の長所、短所の両方を自覚できる。自分が何を頼りにすべきかもわかってきて、それがゲーム中の苦しい時間の中で生きてくるんだ。NBAでも1年目から勝負どころでも出場時間を得られているのは、僕がどんな状況でも自分のプレーができているからだと思う。

ーー君はボールハンドリングに定評があるけど、ヤニス・アデトクンボがボールを運ぶことも多い。チーム内での自分の仕事、役割をどう定義する?

MB:このチームでは攻守両面でポジションは流動的だから、自分を“PG”だとはっきり呼ぶべきでもないのだろう。とにかくアグレッシブに動き、周囲の選手を生かし、プレーメイキングするのが僕の仕事だ。

ーーバックスのジェイソン・キッドHCは現役時代は史上に残るPGだった。同じくガード選手の君には多くのものを望むんじゃないかな。

MB:コーチは僕にはとても厳しいと言って良いと思う。ただ、それは僕を高く評価してくれるからだと受け止めている。だからこそ、今季序盤戦から僕に多くのプレー時間を与えてきてくれた。素晴らしいコーチであり、指導者でもある。彼の指導を受け、時に厳しく注意されることで、僕はより良い選手になれるんだ。

“大統領”という愛称の由来は?

ーーNBAでやっていく上で、自身の課題だと感じている部分は? 

MB:ジャンパーの安定感かな。シュート力にはまだまだ向上の余地がある。あとはパスを出す際の判断力をより良くすること、ターンオーバーを減らすこと。そして、バスケットボールプレーヤーとしてすべての面で力をつけること。より多才な選手になっていくことが目標だ。

ーーペリミターのディフェンダーとしても評価されているけど、ここまで最もガードするのが難しかった選手は? 

MB:ジョン・ウォール(ワシントン・ウィザーズ)とのマッチアップはタフだったな。とてもずる賢く、クイックだった。あとは・・・・・・カイリー・アービング(クリーブランド・キャバリアーズ)のガードも非常に難しかった。

ーーただ、昨年12月のキャブズ戦ではそのアービング、さらにはレブロン・ジェームズの頭上からダンクを決めて、君の知名度は一気に上がった。あの試合後には、君の友人や家族もかなり騒いだのでは?

MB:あのゲームでのダンクは多くの人たちを驚かせたようだった。僕個人としても今季ここまでのハイライトかな。ただ、僕にとってまずはゲームに勝つことが大事。勝てばダンクももっと喜べるし、祝うこともできる。

ーー“大統領(プレジデント)”という君のユニークなニックネームもだいぶ浸透してきたけど、最初に呼ばれ始めたのはいつ頃? 

MB:実はカレッジの頃からたまにそう呼ばれていて、NBAに入ってから本格的に浸透し始めたんだ。僕がオバマ大統領に似てると言う人がいてね。外見だけでなく、喋り方も似ていると(笑)。成熟していることからつけられたニックネームだから、素晴らしい賞賛だと受け取っているよ。

ーーチームメートのアデトクンボは今季はスーパースターレベルでプレーしている。誰よりも間近で見ることができる君は彼というプレーヤーをどう表現する?

MB:彼は凄いよ。何よりも言っておきたいのは、ヤニスはこのチームでも最高のハードワーカーだということ。そして、その練習の成果が出ている。今季もオールスターに選ばれるべきだし、もうリーグ屈指の選手だろう。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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