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キャブズが補強のターゲットに?NBAに戻ったスペインのマジシャン セルヒオ・ロドリゲス(76ers)

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

セルヒオ・ロドリゲス(フィラデルフィア・76ers)

1986年6月12日生まれ、30歳

スペイン出身 ポジションはPG

2004年にスペインリーグでプロデヴューした後、2006年にNBA入り。2009年までポートランド・トレイルブレイザーズ、サクラメント・キングス、ニューヨーク・ニックスに所属し、通算285試合で平均13.2分をプレー、4.3得点、2.9アシストの実績を残した。2010年には母国の名門レアル・マドリーと契約し、2014年にはユーロリーグMVP、2015年にはユーロリーグ制覇を達成。スペイン代表としても2006年の世界選手権で金、ロンドン五輪で銀、リオ五輪で銅メダル獲得に貢献している。今夏にNBA復帰を決意し、再建途中の76ersと1年800万ドルで契約。若手が多いチームの司令塔として、最初の30試合で平均26.8分に出場し、9.3得点、6.2アシストと6年前に比べて個人成績を大きくアップさせている。

NBAに再び挑みたいと常に願っていた

ーーまず最初に、30歳にしてこうしてNBAに再挑戦を決意した理由と経緯を話してもらえるかな?

SR:2010年にニューヨークでプレーした後、レアル・マドリーという欧州最高のクラブに行く機会があって、そこで優勝を目指してみたくなった。ずっとチャンピオンになる機会を追い求めていたからね。ヨーロッパで6年を過ごし、できることをやり、今こそが再びアメリカに戻るのに最適の時期だと思った。レアルではすべてが快適だっただけど、一方でまたNBAでプレーしたいという思いは常に持っていた。また世界最高の選手たちを相手にプレーするために、ここに戻ってきたんだ。

ーー君がニックスでプレーした頃のことをよく覚えているけど、今の方がより快適に見える。それは数字にも表れているね。6年前と比べ、違いはどこにある? 

SR:これまで多くの経験を積んできた。23歳までにサクラメント、ニューヨークといったアメリカの都市でプレーし、それから長い時間が経った。アメリカ、スペインで有名チームに所属し、多くの街に行き、NBA、欧州のリーグ、そしてスペイン代表の一員として国際舞台にも立ってきた。そういったすべての経験が今の僕の糧になっている。おかげで状況によって、何をすれば良いのかがわかる。こうしてNBAでまた世界のベストプレーヤーたちと対峙することになったけど、前回よりも成熟したプレーができていると感じられるよ。

ーー君自身ではなく、今のNBAに変化は感じる?

SR:まだ2ヶ月を見ただけだけど・・・・・・そんなに変わってないかな。現代の潮流なのか、今の方がより多くのスリーポイントシュートを打つチームが増えているとは思う。僕たちに関しては、よりアップテンポのプレーを心掛けている。ただ、戦術はチームによって異なるもの。30チームにそれぞれの戦術があるし、6年前と比べてここが変わったとかは言い切れない。

ーーこれまで多くの国で多くの選手を見てきた君の目にジョエル・エンビードはどう映る?多才な7フッターとしてかなり注目されているけど。

SR:とてもユニークなプレーヤーだ。あれだけのサイズながら機敏に動けるし、非常に頭の良い選手でもある。自分に何が必要なのか、コート上で何をすべきかもわかっている。長く実戦から離れていたら、即座の貢献は難しいはずなのに、彼はやり遂げている。今後の成長が楽しみだし、いずれリーグのベストプレーヤーの1人になるだろう。 

PG補強を目論むキャブズのターゲット?

ーーキャリアを振り返って、君はヨーロッパのバスケットボールプレーヤーが望むことはほぼすべて成し遂げたようにも思う。NBA では何を目標にしているのかな?今後のプランは?

SR:まずはNBAでしっかりとした実績を残したい。その後は、あまり先のことを考え過ぎず、1年ごとに自分にとって最善のオプションを模索していきたい。僕はフィラデルフィアでプレーできてハッピー。上昇気流に乗ったチームの成長の過程を見ることができている。この環境で日々、ベストを尽くせることを幸福に感じる。

ーー君がコメントできないことはわかっているけど、”クリーブランド・キャバリアーズはセルヒオを獲得すべき”なんて提唱する記事をネット上で幾つか読んだ。そんな声が挙がることはやはり光栄に感じる? 

SR:え、そんな話があるの? 

ーーモー・ウィリアムズが引退状態で、キャブズは控えPGが手薄になっている。先日、ニューヨークでレブロン・ジェームズが「僕たちはPGを獲得しなければいけない」とコメントした。君のようなベテランガードが興味を持たれるのは自然な流れだ。

SR:うーん、その話は知らなかったけど、さっきも言った通り、僕はここでハッピーだ。NBAがビジネスだというのは十分に理解している。ただ、今の僕に必要なのは日々ベストを尽くすこと。そして、フィラデルフィアでの毎日を楽しむこと。76ersはまだ9勝(25敗)しか挙げられていないけど、ほぼ毎戦で競り合うことはできている。チームメートの中には、数年の間にこのリーグでも重要な存在になるだろう選手たちが含まれている。そんなスター候補たちと一緒にプレーできて、良い環境だよ。不満はない。近い未来に何か起こるとしても、それは僕にはコントロールできないことだからね。

ーーところで、いろいろ調べてみたら、君には多くのニックネームがあるのが分かった。「El Mago(マジシャン)」、「Spanish Chocolate」、「Spanish Fly」?この中ではどれがお気に入りなのかな?

SR:やっぱりマジシャンかな。ただ、Chacho(チャチョ)がベストだ。個人的にはChachoというニックネームが一番好きなんだ。

注/Chachoとは“カナリア諸島の男、男の子”といった意味

注/記録は1月8日のネッツ戦前まで。ネッツ戦に勝ち、76ersは今季10勝目を挙げた

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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