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A10カンファレンス屈指のディフェンダーに成長できた理由 渡邊雄太(ジョージワシントン大)一問一答

杉浦大介スポーツライター

2017年2月11日

ジョージ・ワシントン大(13勝12敗、A10カンファレンス5勝7敗) 76-70 セント・ボナベンチャー大(15勝9敗、A10カンファレンス7勝5敗)

渡邊雄太 39分出場し、6得点(FG3/9、FT0/0、3PT1/4)、2リバウンド、6アシスト、0ブロック、0スティール、2ターンオーバー、3ファウル

守備の要として勝利に大きく貢献

ーー8日に最後の最後でVCUに逆転負けした後で、今日は好成績のチーム相手に大きな一勝だった。

YW:あれだけ悔しい負けを味わった後でも、今日までの2、3日間、チームの雰囲気は凄く良かったんです。みんな負けは負けだからしょうがない、この試合は絶対勝とうと。良い雰囲気で臨めたんで、その結果が出たという感じですね。

ーー若い選手が多い今年のチームも徐々に向上していると感じられる?

YW:ディフェンスへの意識が変わってきました。VCU戦も、今日も、相手のFG成功率をかなり低く抑えられています。シーズン開始当初は特に1年生、あるいは今年からゲームに出始めた選手たちには、ディフェンスよりも自分が得点したいとか、もっとプレータイムをもらいたいとか、個人的な考えを持っている選手が多かった。それが最近はチームのためにディフェンス面でどう貢献できるか、と考える選手が増えてきました。まとまりは凄く出てきていますね。チーム力が伸びている原因の1つはそこかなと思います。

ーーそのディフェンス面では渡邊選手が要になっていて、今日も平均21.4得点を挙げていた相手のエース、ジェイレン・アダムスをFG2/13、スリー1/10(マッチアップしている間に決められたのはスリー1本だけ)に封じた。 

YW:フリースローを(14本も)決められた分、得点(19点)は取られてしまったんですけど、FGはかなり低い確率で抑えることができました。それが今のチームでの僕の仕事。オフェンス面では最近はあまり活躍できていないですけど、必ずまた得点を取れる時期は来ると思っています。とにかくまずはディフェンスを最優先ですね。相手のエースとのマッチアップを毎回任されているんで、プライドを持ってやるように意識しています。 

ーーディフェンス面は今ではかなり高く評価されるようになったけど、自信がつくきっかけになったのは? 

YW:去年のNITトーナメント(の第2ラウンド)でマンマス大と対戦した時に、平均20得点くらいを残していた相手のガードを6得点に抑えられました。その前にもエースのガードを任されたりはしていたんですけど、去年はパトリシオ(・ガリーノ)がいたので、彼と交代でやっていたんですよね。マンマス戦に関しては僕にずっと任せてくれて、結果を残せたのが大きかったです。今シーズンからは、絶対に自分が相手を抑えるという自信を持ってつけるようになりました。(マンマス戦は)自分を大きく変えたかなという感じです。

ーー守備面で開花したのは、スキルというよりも、メンタリティが大きい?

YW:精神面もそうですし、自分の特徴である手の長さ、身長の高さを上手く使え出したという感じです。抜かれにくく、なおかついつでもチェックに行ける間合いが自分的に分かり始めています。また、毎回、エースを追いかけ回しているので、フットワークも良くなってきているかと。

オフェンスの課題は新システムへの適応

ーー1年生時からフィジカル強化の必要性に関しては言われてきたけど、今では当たり負けはしないという自信もついた? 

YW:今はガードにつくことが多いので、最近は接触よりはスピード勝負が多いです。フィジカルに関してはまだまだ自分の課題ですね。

ーー先ほど話があったように、オフェンス面はやや不振で、過去5戦中4戦で一桁得点。ただ、これだけ守備面で奔走すれば、疲労も溜まるし、オフェンスに影響が出るのは仕方ないという話をモーリス・ジョセフ暫定HCもしていた。

YW:(守備の負担の影響は)正直あります。相手エースを40分間追いかけ回すと、やはり足に来ますね。ただ、そこを言い訳にしてはいけないと思っています。疲れている中でも、決めるべきシュートはもっとあるはずです。あと最近はチームのオフェンスシステムが変わり、ピック&ロールを多く使うようになりました。それは僕が得意とするより、どちらかといえばガードが中心になるプレーなので、自分の中で少し戸惑っている部分もあります。そこに順応できれば、シーズン初めのようにもっと得点にも絡めるかなと考えています。

ーー前戦後には最近はディナイされてしまう機会が増えているので、何とかしなければいけないと話していた。 

YW:(現状では)ボールをなかなか持たせてもらえないですし、持てたとしても、ゴールからかなり遠いところになってしまっています。自分はドリブルで1対1というより、どちらかと言えば持ってないところで相手と駆け引きして、持ったときにフリーを作ってというタイプ。ただ、さっきも言ったように、最近の自分たちはガード3人が外でボールを持ってピック&ロールというプレーが凄く多くなっています。そこにもっと上手く絡まないと、得点に繋げていくのは難しいです。

ーー課題がそうやってはっきり見えているのは好材料ではあるのかな?

YW:自分が何をしなければいけないかは分かっています。シーズンも本当に終盤に差し掛かって来ましたけど、修正していきたいなと思っています。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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