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ニューヨークを襲った吹雪でゴロフキン、ロマゴンらの公開練習が中止に 6 days in MSG #2

杉浦大介スポーツライター

Photo By Tom Hogan = Hoganphotos/K2Promotions

3月18日 ニューヨーク マディソン・スクウェア・ガーデン

WBA、WBC、IBF世界ミドル級タイトル戦

WBAスーパー、WBC、IBF王者

ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン/34歳/36勝(33KO)無敗)

WBA正規王者

ダニエル・ジェイコブス(アメリカ/30歳/32勝(29KO)1敗)

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3月14日 マディソン・スクウェア・ガーデン・シアター

本来であれば、ファイトウィーク2日目のこの日は午前中からMSGシアターで公開練習が行われるはずだった。以下のタイムスケジュール通り、まずは金曜日の興行の選手たちがワークアウト。その後に土曜日のPPV興行に出場する選手たちがMSGシアターのリングで練習を行い、合間にメディアの取材に応えていく。

多くのトップファイターたちが一堂に会し、華やかなイベントになると思われた。しかしーーー。

11:00 AM

ティム・イバラ(アメリカ)

11:20 AM

ロブソン・コンセイソン(ブラジル)

11:40 AM

マイケル・コンラン(アイルランド)

12:30 PM

ダニエル・ジェイコブス

1:00 PM

ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)

1:30 PM

シーサケット・ソー・ルンヴァサイ(タイ)

2:00 PM

ゲンナディ・ゴロフキン

アメリカ東部は14日未明から大雪となり、ニューヨーク州も非常事態宣言を出す事態になった。交通機能が麻痺することは事前から予想され、実際に飛行機も約6000便が欠航。こんな状況下で、トップランク(17日の興行の主催者)、K2プロモーションズ(18日の主催者)は前夜の時点で早々と公開練習のキャンセルを通知する。どんな綿密なプランも天気には勝てず、豪華になるはずだったNYCのファイトウィークはここで早くも一休みとなってしまった。

1:00 PM

急遽、電話会見がセットされ、ゴロフキン、ジェイコブスとその陣営が参加した。前日に最終会見が行われたばかりだけに、もうこの期に及んで訊きたいこともないというのは正直なところ。この即席イベントは、毎日何らかの情報、ニュースを発信しなければいけない一部のニュースメディアへの配慮だろう。

「カール・フロッチは”GGGは全盛期を過ぎた”と話していた。彼は依然として危険な選手で、脅威だけど、(フロッチの言うことに)僕も同意するよ。この試合は僕にとって最高のタイミングで行われると思う。僕の意見では、(前戦のケル・ブルック(イギリス)戦で)彼の弱点は暴露されていたからね」(ジェイコブス)

ジェイコブスは”ゴロフキンに衰えが見えたから対戦を承諾した”と言っているようなもので、その言葉は興味深い。ファイトの売り出し、勝った場合の自身の評価を考えれば賢明なコメントではないが、いつも正直なこの選手らしいと言うべきか。実際にかなり強引だったブルック戦後、ゴロフキンの現在の戦力に疑問を呈し始めたファン、関係者はアメリカ国内にも少なくない。4月には35歳になる怪物は下降線に入ったのかどうか、答えは今週末に提示されることだろう。

「(前日計量の時間が早いことは)両選手のアドバンテージになる。ゲンナディは(ミドル級では)小柄だから、計量が早くともその後に余計に体重を増やしたりはしない。ただ、これまでの試合でも相手の方が大抵5、6パウンドは大きかった。だからジェイコブスのアドバンテージにはならないよ。より健康な身体で、準備できるのだから、両方に利点はある」(アベル・サンチェス)

今週末の試合に関して独特なのは、前日計量が9:00AMという早い時間に行われること。金曜日にコンランがメインの興行が行われるため、ニューヨーク州コミッションの準備時間を考慮した上での措置である。計量から試合まで約38時間という異例の長時間が空くことは、より大柄で、体重調整も厳しいジェイコブスに有利に働くという見方もある。もっとも、ゴロフキンのトレーナーのサンチェスはこの点は否定している。試合当日の9:00AMまでにリミットから10パウンド以上を上げてはならないという規定があり、ジェイコブスは計量後に膨れ上がる印象もないだけに、実際にそれほど大きな影響は及ぼさないのではないか。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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