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高校選手権に”サッカーらしさ”が感じられないのはなぜか。

杉山茂樹スポーツライター

サッカーの魅力に迫りにくい、サッカーらしくないイベント。高校サッカー選手権が、僕にはそう見える。

準々決勝までは40分ハーフ。決勝以外、延長なしで即PK戦を行うレギュレーションは、その最たるモノになる。

サッカーは1試合で、両軍併せても平均2、3点しか入らないスポーツ。ロースコアにこそ最大の特徴がある。引き分けに終わる確率が、これほど高い競技も珍しいのだ。

12日に決勝を行う今大会も、準決勝まで46試合中12試合が引き分け。4試合に1回強の割合でPK戦が行われている。平成24年度の91回大会に至っては、全47試合中16試合。PK戦は3分の1強の確率で実施された。

同点の場合、かつてはラグビーの高校選手権と同じように、抽選に委ねられていた。PKと言えば、抽選より数段サッカー的なものに見えるが、タイムアップ後に蹴るPKは、試合中に蹴るPKとは別物。あくまでも抽選の代用品だ。サッカーの本質から外れたゲームと言っていい。

勝負に運が絡む確率が、サッカーの場合3割あると言われるが、高校選手権の場合は、設定だけでそれぐらいの数字になってしまう。全体では4割を超えるものと思われる。もう一度、大会を最初から行えば、別の高校が優勝する可能性の方が断然高いのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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