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日本代表の敗戦よりよっぽど質が悪い、アギーレに対するペンの暴力

杉山茂樹スポーツライター

アギーレの八百長問題。バレンシアの裁判所が、スペイン検察当局の告発を受理したと日本の各メディアが一斉に報じたのは12月中旬のことだった。

ところが、現実はそうではなかった。アギーレはいまだ、なにも報告を受けていないと言う。アジアカップの準々決勝でUAEにPK戦で敗れた後、大仁会長、アギーレは、報道陣に対してそのように答えている。

受理されていないとすれば、12月中旬の報道は完全な誤報になる。メディアには直ちに、訂正のみならず、謝罪する責務がある。

「告発受理」を報道した際、どれほど裏を取っていたのだろうか。僕の知る限り、NHKを含むその大半が「地元スペインの報道によれば」とか「○○紙によれば」というスタイルだった。現地報道をそのまま報じていた。

報道には、間違ったとしても、「間違った」で済まされるものもある。噂の域を脱し得ない移籍にまつわる報道は、その典型的なものになるが、それで済まされない問題があることも事実。八百長問題はそのド真ん中に位置する。受理されたか、受理されていないか。これは間違いがあってはいけない問題なのだ。

八百長は人聞きのいい話ではない。ある個人の名誉を著しく傷つけ、社会的な信頼を失墜させる恐れがある。当事者の家族を崩壊させる場合もある。まさに人権に深く関わる問題だ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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