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日本代表が100の力を120出すために必要なこと

杉山茂樹スポーツライター

フォア・ザ・チーム。チームの勝利のために、貢献したい、全力を尽くしたい。選手は例外なくそう言う。サッカーに限った話ではない。チーム競技に携わる選手、ほぼ全員がその調子だ。しかし、その一方で、チームが勝利を飾っても浮かない顔でいる選手は少なくない。活躍できなかった選手だ。決定的なシュートを外してしまったストライカーなどは、その典型になる。

「チームの勝利のために」が、本音ではなく、建前に聞こえてしまう瞬間だ。チームのためでもあるけれど、自分のためでもある。何事にもチームワークを重んじようとする日本では、チームのためと言っておく方が無難。誤解を招かずに済む。そうした思いも多分にあるはずだ。

しかし、試合に出場できなかった選手で、それを演じきることができる芝居上手はさすがに少ない。勝利の瞬間、ベンチの様子をテレビカメラが映し出せば、浮かない表情をした選手を、必ずといっていいほど捉えることができる。

サッカーは、選手の善し悪しが数字に表れにくい競技だ。メンバー構成には監督の好みが反映されやすい。監督交代を機にスタメンが変わることはよくある話。ジーコジャパンでただ一人、本大会の舞台に立てなかった遠藤が、以降、日本代表の中心として活躍する姿に、そうしたサッカーの特殊性が見て取れる。

同じスタメンが続けば、出ない人のモチベーションは下がる。選手は出る人と出ない人に二分される。その状態が長く続けば、チームのムードは自ずと低下する。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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