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新国立競技場はお金の前にまずスタジアムの“性格”を決めよ

杉山茂樹スポーツライター

もし新国立競技場が、東京五輪のメイン会場としての使命を担っていなければ、陸上トラック付きではない球技専用スタジアムにした方がいい。個人的にはそう思う。

サッカー観戦者にとって、トラックはピッチとスタンドを遮る、まさに邪魔者。これほど迷惑なものはない。見にくさだけではない。ピッチが遠いと、スタンドとピッチが一体になりにくい。ライブの魅力が薄れるのだ。

陸上の大きな競技会が、そこで頻繁に行われるなら問題は何もない。致し方ないと諦めもつく。だが、滅多に開かれない場合はそうはいかない。

2002年日韓共催W杯で使用された10会場で、陸上トラック付きのスタジアムは6つを数えた。宮城、新潟、横浜、静岡、大阪長居、大分。同じ頃、建てられた味スタこと東京スタジアムもそれに含まれる。

聞くところによれば、公共のスタジアム建設は、総合競技場が原則なのだという。使用目的が、特定の競技に偏ると公共性が低いと見なされ、予算がつきにくい。サッカー専用スタジアムは、平等の原則に反するのだという。

だが、例えば横浜国際・日産スタジアムで、世界的な陸上の大会は、これまでどれほど行われただろうか。

開閉会式を行う場所が別にあれば、あるいは、メイン会場が別にあるなら、新国立は球技場にと、もう少し声高に叫んでいるだろうが、大袈裟に言えば、そう言うことだと思う。建築家に設計を依頼する前に考えるべきことは。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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