Yahoo!ニュース

スペインの2強以外のクラブに見るサッカー進化の源泉

杉山茂樹スポーツライター

05〜06シーズンに2度目の優勝を飾るまで、バルサは肝心なところでよく取りこぼした。9シーズンで4度の優勝を飾ったそれ以降とは異なる、人の良さを丸出しにしたサッカーをしていた。

ビッグクラブによいサッカーをされると、追いかけるチームは手立てがなくなる。近年のチャンピオンズリーグ(CL)は、その結果、番狂わせが激減。03〜04シーズンにポルトが優勝して以来、優勝チームはもとより、ベスト4、ベスト8にも順当な顔が並ぶ。かつて吹き荒れた下克上の嵐は、すっかり止んだ状態にある。

世の中には、それを歓迎するファンもいれば、番狂わせを楽しみにしているファンもいる。競技のレベル、エンタメ性は、ビッグクラブがサッカー界を牽引することで上がるのか。ビッグではないクラブが番狂わせを起こすことで上がるのか。問われているのは、両者のバランスだと思うが、昨今の傾向に従えば、待望したいのは番狂わせ。ビッグではないクラブの健闘だ。 

できれば、よいサッカーをするビッグクラブを、それ以上によいサッカーをするダークホースが倒す試合を見たい。これが僕の正直な感想になる。

現在、その主役になる可能性を最も秘めているのは、アトレティコ・デ・マドリーだ。欧州クラブランキング第5位。ブックメーカーによるCLの優勝予想でも5位につけている。ダークホースと呼ぶにはいささか強すぎる気もするが、クラブの年間予算はバルサ、レアル・マドリーの3分の1程度だ。アトレティコが、スペインの2強を倒せば、それは番狂わせと呼んでいいものになる。

この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。

たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバー 2015年9月

税込550(記事4本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

杉山茂樹の最近の記事