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バランスか自由か。予選突破の行方を左右する南野拓実の起用法

杉山茂樹スポーツライター

北朝鮮戦を見て、とりあえず勝ってよかったと胸をなで下ろしている人と、うーんと唸ったまま声が出ない人と、多いのはどちらだろうか。僕がどちらであるかは言うまでもないが、その理由の一つとして挙げられるのが、後半17分に矢島慎也と交代でベンチに下がった南野拓実のプレイだ。

「バランスを整えるため」とは、この交代の意味を伝えたテレビ解説者の言葉。他のメディアも同様な見立てで一致している。だが、彼のどの要素が、バランスの崩れに繋がっていたのかを明確にしなければ、交代の意味は正確に伝わらない。

4−4−2の右サイドハーフという彼のポジションを踏まえて、バランスという言葉と向き合えば、左右のバランスが浮かぶ。左右非対称。左サイドハーフ中島翔也より、真ん中に入っている時間が長かった。日本の4−4−2は、よって人間の身体に置き換えれば、右肩が落ちたような陣形を描くことになった。

その弊害が露わになるのはマイボールの時より、相手ボールの時だ。マイボールの時は、自分たちの都合でサッカーができる。相手からダメージを受けることはないが、相手ボールの時はそうはいかない。相手が南野のサイド(相手から見て左サイド)を突いてくれば、南野がその場にいないことが日本の大きなリスクになる。それはそのまま穴になる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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