Yahoo!ニュース

香川がドルトムントで出場機会を失う理由と、日本代表の選手交代が滞る関係について

杉山茂樹スポーツライター

本田圭佑の1トップ。ハリルホジッチがオーストラリア戦で打った手は、曲がりなりにも奏功した。4−2−3−1の3の右でプレイすると、真ん中に入り込んでしまう本田自身が持つ癖と、その弊害を打ち消す効果を発揮。これによって左右のバランスは整い、相手ボールに転じた際に生じやすい穴は消えた。

本田は自らのマイナス面をユーティリティ性という能力でカバーした。そうした言い方もできる。センターフォワードもできれば、サイドもできる(真ん中に入り込む傾向が強いとはいえ)。1トップ下もできる。4−2−3−1では、4ポジションをカバーすることが可能だ。今季ミランで事実上戦力外の扱いを受け、しかも、2018年ロシアW杯本番を32歳で迎える。選手としての峠を越えている彼を、ハリルホジッチが寵愛する理由のひとつだと思う。使いやすい選手。選手の配置に多彩さをもたらすことができる、監督にとってありがたい存在なのである。

その対極に位置するのが香川真司だ。この選手のプレイ可能なポジションは4−2−3−1上では1トップ下のみ。ザックジャパン時代は4−2−3−1の3の左を担当していたが、大半の時間、その場所にいなかった。真ん中に入り込んでいた。2014年ブラジルW杯、対コートジボワール戦では相手にその癖を見抜かれたことが敗因に直結した。

本田との違いは、サイド選手としての適性そのものに欠けることだ。サイドに出るととても居心地悪そうにプレイする。とりわけ、右サイドでのプレイが苦手なようだ。

この記事は有料です。
たかがサッカー。されどサッカーのバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

杉山茂樹の最近の記事