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サッカー協会は何のための組織か。ハリルホジッチに丸投げでは未来はない

杉山茂樹スポーツライター

ディフェンシブハーフの長谷部誠が、マイボールに転じると最終ラインの両センターバックの間まで下がり、3バックの1人のように構える。2人のセンターバックの間隔は自ずと開く。左右の両サイドバックは、それに伴い、押し上げられるように高い位置を保つ。

ニコ・コバチ監督率いるフランクフルトのサッカーを見ると、思わずアギーレジャパンを想起したくなる。

長谷部もアギーレジャパン時代、いわゆるアンカーで同じ役割を演じていた。長谷部が下がるとその分だけ両サイドバックの位置は上昇。瞬間、攻撃的なムードがパッと広がった印象がある。

アギーレは、アジアカップ(2015年1月)を最後に退任。2018年W杯アジア最終予選で、代わって誕生したハリルジャパンが、4つどもえの展開に巻き込まれる姿を見せられると、アギーレジャパンにノスタルジーを感じてしまう。アギーレが代表監督を続けていたら、今ごろどうなっていただろうか。

不毛の議論は控えるとして、懐疑的になるのは、ハリルホジッチがアギーレからバトンを引き継いだ時、協会側がこれまでの経緯をどれほど彼に説明したかという点だ。日本の現状と課題、そして将来の展望について。

ハリルホジッチが0からすべてを始めてしまった。その采配には、日本の過去が教訓として生かされていない。情報が共有されている様子がない。それに伴うロスが、ここに来て響いている気がしてならないのだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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