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サッカーセンスとは? その正体とコミュニケーション能力との関係

杉山茂樹スポーツライター
ビクトル・サンチェス(現レアル・ベティス監督)(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

サッカーセンスとはゲームの中で発揮されるゲームセンス。キックやボール操作、技術の高い選手を見つけ出すことは簡単だが、センスあるなーと思わせる選手を見つけることは簡単ではない。それが原因なのか、センスが話題になることは滅多にない。サッカー話は、選手の巧い下手を技術に力点を置きながら進んでいく。センスは見落としがちな視点だーーとは、土居聖真(鹿島)について批評した別の原稿でも触れたことだが、彼はその意味で貴重。ゲームセンスに優れた数少ない選手に見える。

とかくセンスは、個人技のレベルで語られてきた。センスのある動き。センスあるパス。センスあるドリブル。ゲームセンスについては多く語られてこなかった。ゲーム中に発揮されるべきセンス。周囲の選手と関わる上でのセンス。問われているのは周囲とのコミュニケーション能力だ。一般社会では2、3年前に流行した、少しばかり古さを感じさせる言葉だが、例えば、現在のハリルジャパンに最も不足している要素は何かと言えば、このコミュニケーション能力になる。

ゲームセンスのある選手が少ない。メンバー選考の基準から欠落しているのではないかと疑われる。

単体の力を比較し、その上位順にメンバーを選考する。その結果、名前のある海外組が各ポジションにずらりと並ぶ。実力優先主義と言えば聞こえはいいが、その実力者にコミュニケーション能力が不足していれば、各々の最大値は発揮されない。それぞれの魅力が相殺され、硬直化しているのが現在の姿。土居的な選手が必要だと言いたくなる理由だ。

その昔、日本サッカー協会の技術担当委員はセンスについて、胸を張るようにこう話した。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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