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株価急落の恐怖をハツカノとの喧嘩にむりやり例えて乗り切ろう

山崎俊輔フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP
株価が急落しているが焦って売るのはうまくない(写真:アフロ)

■笑っちゃうほどの株価急落に投資初心者ほどパニックになる

株価が下がっています。国内だけみても、21000円をうかがう展開であった日経平均株価は、21日に19436円で終わり、週明けの24日の終値は18541円まで下がりました。2万円を割れたのが5週間ぶりなら1万9000円割れは5カ月ぶりという急落のインパクトです。

中国の景気減速懸念が高まっていたところに、天津での爆発事故もあいまって、世界的な株安の連鎖が続いている流れです。24日のNY市場を見る限り急落が止まるとはまだ思えず、25日の株価も大きく下落が予想されます。

おそらく、ここ数年のアベノミクス相場で「投資デビュー」した人はパニックになっていると思います。もしかすると24日には損を出してでも売ってしまったかもしれません。

しかし、短期的な株価暴落に焦って損失確定を出してしまうのは、投資経験が浅い人ならではのミスです。

■株価が下がったときの恐怖と戦うのは投資経験が浅い人の大切な経験である

株価が下がって、想定以上の大きな下落がやってきたとき、焦って売らずに乗り切ることができるかは投資家として成熟するための重要なポイントです。

さらなる下落が怖くて売ってしまうことは簡単ですが、その損失を取り戻すために次の手を打つつもりがないなら、それはただの損失確定になってしまいます。

もし、中長期的に相場が回復することを待てるなら「何もしない」が正解ですし、投資に回すための余裕資金を確保していたのであれば「下がっているときにこそ買う」も有力な選択肢です。しかし、投資初心者ほど難しいことです。

この「下がっている恐怖」と戦うことは、投資の経験を積み、少しベテランになるための通過儀礼のようなものです。すでに投資のベテランになっている人たちは、何度か相場の急落を経験し、失敗も含めて乗り越えてきているからこそ、こうした急落では落ち着いて対応できます。

急落は割とひんぱんにやってきます。2000年以降でも、ITバブル崩壊、リーマンショック、3.11ショックと何度もやってきました。もし、あなたが初めて急落に出会っているのなら、今こそ経験を積むときです。「売らずに、ドキドキしながら時間を待つ」という経験をしてみてください。

■株価急落後の時間は、ハツカノと喧嘩したあとの冷却期間のようなもの?

唐突ですが、投資初心者が味わう楽しさはハツカノ、つまり初めての彼女とつきあう楽しさに似ている、と思います。

文字通り投資デビューするときのドキドキした感覚は、女の子に告白して交際スタートするときのようなわくわく感があります。

銘柄選びをして購入の注文を入れるときのぎこちなさは、初めてのデートでの緊張や、彼女とメールのやりとりをするときのぎこちなさのようなところがあります(徐々に慣れていくところも似ている)。

投資デビュー間もない人は、売る気もないのに株価の変動に一喜一憂してYahoo!ファイナンスをリロードしますが、ハツカノからのメールやSNSの返事を待ちこがれてスマホを見続けるようなものです。

初めての相場急落に焦っている人は、ハツカノとの交際をイメージしてみてはどうでしょうか。

自分が原因でハツカノと最初の喧嘩をして、その日は別れてしまい、家で「うわー、終わった!」と頭を抱えているようなイメージです。あわててメールでみっともない言い訳をしてしまう人もいれば、明け方までベッドで悶々としながらいろいろ悪い想像をしてしまう人もいます。

たいていの場合、そういう失敗は時間が解決してくれるもので、後になれば笑い話になるようなエピソードになります。また、そうした経験を何度かすることで、あせって動くことよりも、落ち着いて行動することのほうがいいことを学びます(焦って失敗してしまった人はその経験を繰り返さないようにするでしょう)。

投資においても損をしたとき焦り過ぎることは禁物です。ハツカノとつきあっていたとき、やってしまった失敗を思い出しながら、自分が「数日は待てるか」「数カ月は待てるか」「数年は待てるか」少し考えてみてください。

数日待てるなら、大きく下がった底で売らずにすむかもしれません。数カ月待てるという人は手放すか持ち続けて待つか冷静になって考える時間を取ることができるでしょう。そして、数年待てる、という人は回復のチャンスはかなり高いはずです。

■2000円の急落でも何も感じなくなると、これまた要注意

一方で、投資に慣れてくると日経平均株価で2000円くらい下がっても気にならなくなる人もいます。これはこれで、つきあいが長い彼女だからと油断している状態になってしまい注意が必要です。気がつけば彼女の気持ちが離れてしまったことすら気がつかず、フラれてしまったりするからです。

理想的には、大きく下げているときはタイミングをみてあえて買い増し、その後の相場の回復で利益を確保し、売らずにおいた資産は気がつけば元本割れもなくなっていた、という風にいきたいものです。

彼女とのつきあいがそうであるように、マーケットとのつきあいも適度な緊張感が必要ですし、経験が物を言うところもたくさんあります。投資初心者は、こうした急落を経験値アップのチャンスと考えて乗り切ってみてください。

フィナンシャル・ウィズダム代表/お金と幸せについて考えるFP

フィナンシャル・ウィズダム代表。お金と幸せについてまじめに考えるファイナンシャル・プランナー。「お金の知恵」を持つことが個人を守る力になると考え、投資教育家/年金教育家として執筆・講演を行っている。日経新聞電子版にて「人生を変えるマネーハック」を好評連載中のほかPRESIDENTオンライン、東洋経済オンラインなどWEB連載は14本。近著に「『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」「共働き夫婦お金の教科書」がある。Youtube「シャープなこんにゃくチャンネル」 https://www.youtube.com/@FPyam

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