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満員の3/4、29,507人が女性。「タカガールデー」に込められた伝えたい思い

田尻耕太郎スポーツライター

過去3年で最多の「タカガール」

ヤフオクドームがピンクに染まった「タカガールデー」
ヤフオクドームがピンクに染まった「タカガールデー」

大人気イベントとして3年目を迎えた「タカガールデー」。

2006年、福岡ダイエーから福岡ソフトバンクへと移り変わった2シーズン目から、毎年「母の日」に近い一日を選び、「女子高生デー」としてスタート。2013年まではその名称で実施していた。

2014年から「タカガールデー」に改称し、ターゲットがより広くなった。

それと同時に、女性来場者には当日限定のピンクユニフォームが無料配布され、さらに女性ファン向けのグッズや飲食、イベントも満載の一日となった。そのため「タカガールデー」のチケットは毎年プラチナ。スタンドを見渡せば、ほぼピンクだ。

女性ファン、いわゆるタカガールの数が、とんでもなくスゴイ。

2014年 28,450人<観衆38,561人・満員>

2015年 28,074人<観衆38,500人・満員>

そして2016年は、29,507人<観衆38,500人・満員>。全観衆の76.6%を女性が占めたことになる。

ピンクは、乳がん撲滅への願い

武田投手の手に、試合で使用されたピンクのベース。手前はネクストバッターズサークル
武田投手の手に、試合で使用されたピンクのベース。手前はネクストバッターズサークル

スタンドがピンク一色ならば、グラウンドも。

一塁から三塁までのベースをはじめ、ネクストバッターズサークルやマウンドのチームマーク、スコアボードも、毎年この日限りピンク色に変更される。

「タカガールデー」を華やかに彩る。だが、タカガールたちに単に喜んでもらうのが目的ではない。もう一つ、大切なメッセージが含まれているのだ。

ベースやネクストバッターズサークルにはリボンの模様が描かれている。「女子高生デー」の時代から毎年、乳がんの撲滅、検診の早期受診を啓発する「ピンクリボン運動」を広く呼びかける取り組みも行っている。

鳥越コーチの言葉「1人でも助かってほしい」

ピンクリボン運動の呼びかけを行った。一番右から鳥越コーチ、吉村選手、和田投手
ピンクリボン運動の呼びかけを行った。一番右から鳥越コーチ、吉村選手、和田投手

試合開始前に、ヤフオクドーム8番ゲート外のステージで、鳥越裕介コーチ、和田毅投手、サファテ投手、森唯斗投手、吉村裕基選手、今宮健太選手がピンクリボン運動のチラシなどを女性ファンに手渡しした。

鳥越コーチは2008年に夫人を乳がんで亡くしており、毎年この呼びかけに参加。この日も最後にマイクを持つと、思いを口にした。

「このような活動を通して、皆さんが乳がんのことを知っていただければと思います。今は早期発見、早期治療で治ると言われています。他人事だと思わず、男性の方も家族と話をするなどして、ぜひ検診に行ってください。1人でも助かってほしいと思って、やっています。ぜひ、検診に行ってください」

その思いが、球場はもちろん、このような報道なども通じて、1人でも多くの人に届くことを願う。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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