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高橋純平148キロデビューに込められた自信と課題 攝津も先発で投げた=ホークス2軍

田尻耕太郎スポーツライター

釜元が勝ち越し打 島袋2勝目

5月28日、ホークス2軍はタマスタ筑後でウエスタン・カープ戦に臨み、11対6で勝利した。

【5月28日 ウエスタン・リーグ タマスタ筑後 3113人】

広島     002022000 6

ソフトバンク 33000140× 11

<バッテリー>

【C】中村祐、●今井(0勝1敗)、西原、中田――中村亘

【H】攝津、高橋、伊藤祐、巽、○島袋(2勝3敗)、星野――細川、斐紹

<本塁打>

【C】庄司1号、野間3号

<戦評>

ホークスが点の取り合いを制した。序盤から攻勢を仕掛けた。初回は2死満塁から金子圭が左中間3点二塁打。2回は復調気味の上林の2点二塁打と塚田のタイムリーでこの回にまたも3点を加えた。

その後、カープに2発の2ランを浴びるなどして追いつかれたが、6回裏に釜元が勝ち越しのタイムリー。7回には川瀬のタイムリーのほか相手守備のミスや押し出し四球で一挙4点を奪って試合の大勢を決めた。

先発の攝津は2回無失点。2番手ではドラ1ルーキーの高橋が初登板。2ランを浴びたが2三振も奪う力投で予定の2回を投げきった。5番手の島袋が3回を投げて今季2勝目を挙げた。 (了)

高橋純平「ストレートに自信が持てるよう」

投球練習中の高橋純平
投球練習中の高橋純平

雨の降りしきるタマスタ筑後。すでに乾いた砂が入れられたマウンドに、注目のルーキー高橋純平が上がったのは3回表からだった。

実戦登板は昨年9月5日のU-18ワールドカップのキューバ戦以来。あふれんばかりの気合と緊張感が伝わってきた。

「今日は2イニングだと最初から分かっていたので、全力でいきました」

まだ投球練習の初球からいきなり143キロを計測した。最初の対戦打者の中村亘に対しては力みから直球が抜け気味。それでも4球目、指にかかった146キロでショートゴロに打ち取ってプロ初めてのアウトを奪った。

ボーク宣告球でまさか被弾「知らなかった」

しかし、次打者の野間にスライダーをライトに運ばれると、続く庄司への4球目だった。主審がボークを宣告したが、その投球、142キロの内角直球をとらえられて2ラン本塁打を浴びた。

「投げている途中でボークと分かってしまい、力を抜いて投げてしまいました。試合後に倉野コーチから『ボールになってもいいという気持ちで、強く腕を振らないとダメだ』と言われました」

ボークが宣告されても、その投球で打者がヒットや四球などで出塁した場合はボークが取り消される。打者有利のルールとなっている。

「それは試合後に知りました」

最速148キロ。直球勝負球で2K

雨で悪条件の登板になってしまったのは残念
雨で悪条件の登板になってしまったのは残念

だが、ここから踏ん張った。プライディに対してオール直球勝負。145キロで空振りを奪い3球三振。プロ最初の奪三振を記録した。

2イニング目はいきなり初球にヒットを浴び、2死後に連続フォアボールで満塁のピンチを招いたが、野間に対してカーブを続けて力のない二ライナーに打ち取り追加点は許さなかった。この日の最速は148キロ。カーブも有効だった。

「高校時代からスピードは気にしていません。ただ、試合前は僕のストレートでは当てられてしまうと思っていましたが、空振りが取れたり、甘いコースでも打ち取ったりすることができました。ストレートに自信が持てるよう、これからもやっていきたい。でも、全体的には課題の方が多いです。ホームランの場面もそうだし、2イニング目の連続フォアボールもすごく悔しかったです」

それでも大収穫は、プロ初のマウンドで様々なシチュエーションを経験できたこと。しかも3軍ではなく、2軍を経験でした。それについては「感謝しかないです」と語った。

女房役細川も高評価

女房役の細川亨も「打者がズラされていた。指にかかった球はみんな差し込まれていたし。独特な投げ方だったこともあるかも」と振り返った。

プロ野球での第一歩を踏み出した。「今年、1軍で1勝というか登板したい気持ちは変わりません。そのために2軍で今日の1試合だけでなく、まずは2軍に定着して多く投げていくことが大切だと思います」と背番号47は気持ちを引き締めなおすように話した。 (了)

高橋純平投球結果

3表

中村亘 遊ゴロ

野間  中安

庄司  右本塁打

プライディ 空三振

ルナ  右飛

4表

土生  右安

下水流 二ゴロ

美間  空三振

くわ原  四球

中村亘 四球

野間  二直

イニング2 球数42 被安打3(本塁打1) 奪三振2 与四球2 失点2

攝津が持ち味発揮。約1か月ぶり登板

2回無失点の攝津
2回無失点の攝津

先発したのは攝津正。4月24日以来の登板だったこともあり2回だけのピッチングだったが、きっちり無失点に抑えた。

最速は142キロ。持ち味のカーブを多投した。1安打1四球で走者を許したが、アウト6つはすべて内野ゴロ。細川の構えるミットに吸い込まれるコントロールの良さも発揮し、約1か月間の調整の成果を発揮した。

細川は「球持ちがよかったし、カーブのブレーキが効いていた。ルナをセカンドごろに打ち取った場面も、タイミングは合っていたように見えたけど結果はバットの先っぽだった。その現象がまさにそれ。コントロールもよかったです」と確かな復調気配を感じ取っていたようだった。 (了)

ドラ6ルーキー川瀬が公式戦初安打初打点

若鷹スピーチを行った川瀬(左から3人目)
若鷹スピーチを行った川瀬(左から3人目)

高橋と同じく高卒ルーキーの川瀬晃が6回の守備から出場。7対6で迎えた7回1死三塁の打席でしぶとくセンター前へ落とすタイムリーヒットを放ち、ホークスに貴重な追加点をもたらした。これがプロ公式戦での初安打初打点となった。

大分商から入団したドラ6は「昨日が3球三振だったので、コーチからも思い切っていけと言われて、とにかく踏み込んでいきました」と笑顔を見せた。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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