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カニは鷹を救う!? 連発好調の二軍キング、ホークス助っ人カニザレスの期待値

田尻耕太郎スポーツライター

古澤2安打1打点、栗原タイムリー

8月24日のウエスタン・リーグ。ホークスはカープ戦を、昨季まで本拠地としていた雁の巣球場で、昨季最終戦以来約11か月ぶりの試合を行った。

【8月24日 ウエスタン・リーグ 雁の巣 1,145人】

広島     010302003 9

ソフトバンク 11001026× 11

<バッテリー>

【C】横山、デラバー、●永川(0勝3敗)、西原――中村亘

【H】攝津、岡本、○巽(4勝1敗)、飯田、Sバリオス(1勝2セーブ)――拓也、栗原

<本塁打>

【C】岩本3号・4号、メヒア6号、ルナ3号 【H】カニザレス10号・11号

先発した攝津
先発した攝津

<戦評>

ホークスが乱打戦を制した。5対6で迎えた8回裏、ホークス打線の猛攻だ。先頭の金子圭の三塁打に続き真砂がタイムリーを放って同点。さらに1死二塁から1番牧原が逆転三塁打。カニザレス、上林、栗原にもチャンスで決定打が出て一挙6点を奪った。

また、カニザレスは5回、7回に一発を放つなど4打数4安打5打点の大活躍。2年目の古澤は2安打1打点。釜元は2盗塁を重ねてリーグ単独トップの19盗塁とした。

先発の攝津は5回8安打4失点。風の影響もあったが、3本塁打を浴びた。

カープは計4本塁打の猛攻も、リリーフの永川と西原が踏ん張れず。最終回は3点すべて押し出し四球での得点。満塁機は続いたが、逆転までは至らなかった。 (了)

カニザレス「今年一番の状態」も、首脳陣は「まだ、もっと」

4安打目を放った直後のカニザレス
4安打目を放った直後のカニザレス

里帰りをした若鷹軍団を応援するために集まったファンに、強烈なインパクトを残した。

4番DHで出場したカニザレスが2打席連続本塁打を含む4打数4安打5打点の大暴れ。2発目の本塁打は今季11号で、リーグトップに立つ同僚の江川智晃と猪本健太郎に並んだ。

「ベリーハッピーだ。打ったのは一発目がスライダー。バックスクリーンに打った2発目がストレートだったよ」

上り調子だ。8号を放った8月11日から自身出場7試合連続でヒットをマークしている。前日23日のヤフオクドームでの親子試合(カープ戦)でも特大の一発を放っており、2試合連続のホームランでもあった。

開幕直後は1軍クリーンナップだった

今季は大きな期待の中でスタートした。昨季までは李大浩の陰に隠れ、外国人枠の問題もあってファーム暮らしが長かった。「他球団ならば、1軍でレギュラーとして20発以上打てる」との声も上がったが、それでも文句の一つも言わずに、ずっとファームで準備を続けた。超優良助っ人である。

李大浩の退団を受けて、開幕2、3戦目は5番スタメンで出場した。だが、結果を残せずに4月6日に1軍登録抹消。7月に再昇格したが、半月ほどで再びファームに戻った。今季ここまでの1軍成績は12試合、打率.194、0本塁打、3打点だ。

ただ、とにかくマジメ気質である。

”超”がつくマジメ気質

「常に自分のトレーニングを続けること。諦めずに、正しい姿勢を忘れない。目標を立てて、それをクリアする。バッティング練習ではグラウンドを広く使う。逆方向を意識することだね。そして積極性も大切だと思っている」

好調に転じた要因を次々と並べた。現時点の感触は「今年一番」。7月の1軍昇格前よりも体の切れが出てきたと話す。

しかし、水上善雄2軍監督も藤本博史2軍打撃コーチも「昨年の本当にいい頃を知っている。それに比べればまだまだ」という。ただ、言い換えれば「もっと状態は良くなる」ということ。

水上2軍監督は「右の大砲だし期待はある。試合の中での結果は十分。練習の中で、もっとキレをだしてほしい」と語れば、藤本コーチも「打つことでアピールを続けることが1軍につながる」と笑顔を見せた。

かにポーズが流行!?

ところで前日のヤフオクドームの試合では、ホームランを打ってベンチ前に戻ると、中継カメラに向かって両手でピースサインを作って小刻みに動かす「かにポーズ」を決めた。

「じつは1年目からやっていたんだけど、カメラの前でやったのは初めて(笑)」

スラッガー待望論が止まない1軍にうってつけの存在。満員のヤフオクドームを沸かせる「かにポーズ」を、大舞台で見せてほしい。

ちなみに、やはり甲殻類アレルギーはそのままで、カニを口にすることはないという。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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