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日ハム陽岱鋼は従兄。オリックス育成1位の張奕がヤフオクドームで本塁打

田尻耕太郎スポーツライター
ベンチ前では笑顔もあった張奕。懸命に声でもチームを引っ張った

チームは準決勝でサヨナラ敗退

11月の明治神宮大会出場をかけた九州大学野球選手権が10月22日、23日にヤフオクドームで行われている。初日は準決勝。第1試合は日本経済大(福岡六大学野球3位)と北九州市立大(九州六大学1位)が対戦。北九州市立大が延長10回サヨナラ勝ちした。23日の決勝では九州共立大と日本文理大の勝者と対戦する。

【10月22日 九州大学野球選手権 準決勝】

日本経済大  0000001100  2

北九州市立大 1000000101×  3

<バッテリー>

【日経】森――稲垣拓

【北九】木谷、橋本伊――浦瀬

<本塁打>

【日経】山崎、張奕

<戦評>

北九州市立大が延長10回にサヨナラ勝ちした。1アウト満塁から1番稲毛の打球が投ゴロになったが、打球を処理した投手が本塁へ悪送球をして決着がついた。北九州市立大は初回に犠飛で先制するも、7回まで打線は無安打。しかし、逆転された直後の8回裏、先頭バッターが初安打を放ってチャンスを広げると、足でかき回して相手ミスを誘って同点とした。

日本経済大は7回に4番山崎が左翼スタンドへ、8回には1番張奕が左中間テラス席へそれぞれソロを放って一旦は勝ち越したが、試合終盤の守備の乱れが痛かった。  (了)

張奕「次のステージへ、前を向いて」

オリックスに育成1位で指名された日本経済大の張奕(ちょう・やく)外野手が会心の一発を放った。1対1の8回表、いったんは勝ち越しとなるソロ本塁打をヤフオクドームの左中間テラス席へ叩き込んだ。

張は台湾出身。高校進学を機に来日し、福岡第一高校を経て日本経済大に入学した。従兄は日本ハムで活躍する陽岱鋼だ。張も同タイプのアスリート系選手。高い身体能力を生かした強肩俊足の右打ち外野手だ。今年は長打力にも磨きをかけた。大学1年春からレギュラーを張るも昨年までの計6シーズンで通算1発だったが、今春に1本塁打、さらに今秋は4本塁打を放って福岡六大学リーグの本塁打王に輝いた。

そしてこの日の試合。第2打席で左越え二塁打、第5打席では中前打を放って計3安打の活躍を見せた。しかし試合は敗れ、これが大学生活最後の試合となった。

「ヤフオクドームで本塁打は初めて」

「このチームでもっと長くやりたかった。だけど、みんな力を出し切った結果。アイツ(後輩)らに期待したい」と試合後は悔しさをにじませながら語った。

「個人的にも全力を出し切った。ヤフオクドームで本塁打を放ったのは初めて。ドラフト後初の試合だったけど、いつも通りやろうと思い、そのとおりにプレーできたと思います」

従兄である日本ハムの陽とは前日に電話で話をしてドラフト指名を祝福された。

「アドバイスは特になかった(笑)。僕が目指すのも同じプレースタイル。今後も学んでいきたい」

大学4年間で最も伸びたのは精神力だという。「毎日の積み重ねでここまで来られた。負けて悔いはあるけど、次のステージへ前を向いていきたい」と、周りには泣いているチームメイトもいたが、張の目には最後まで涙はなかった。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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