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トライアウト参加者最速の148キロ出た! 前ホークス巽真悟「まずは真っすぐを」

田尻耕太郎スポーツライター
左が巽。右は新垣渚(前ヤクルト)

投手42名中で最速をマーク「NPBのオファー待つ」

これまでに経験したことのない緊張感が、逆に眠っていた才能を呼び起こさせたのか。

今オフに福岡ソフトバンクホークスを戦力外となった巽真悟が、11月12日に行われたプロ野球12球団合同トライアウトで、参加者の中で最速の148キロをマークしてアピールした。

「こんなに出るとは思っていなかった。いい緊張感の中で投げられたおかげかなと思っています」

打者3人と対戦。空振り三振も

投手42人、野手23人の計65人が参加して、午前10時半からシート打撃形式(カウント1ボール1ストライクから)で行われた。舞台となった甲子園球場には早朝から多くのファンが詰めかけ、開放された内野席は満員となった。

1人の投手は打者3人と対戦する。巽は長江翔太(前巨人)、加藤健(前巨人)、大平成一(元日本ハム)を打席に迎えた。長江には四球を与えたが、加藤健146キロ直球で二ゴロ、大平には最速148キロでファウルを奪い、最後は122キロの緩い変化球で空振り三振を奪ってみせた。

「登板のタイミングをつかむのが難しかったけど、普段から中継ぎをやっているので、ベストでない状況でもマウンドに上がることはあった。その中で抑えたこともあったし、経験は生きたと思う。変化球も投げたけど、今日はストレート中心で行くと決めていました。まずは真っすぐを投げられることが一番なので」

ドラフト1位で入団も、通算1勝で戦力外に

かつて、ドラフト1位の高評価でこの世界に飛び込んだ。当初はひ弱さも目立ち、直球は140キロそこそこだったが、地道な体作りが奏功して150キロ級のボールを投げられるまでに成長した(この日のプロフィールにはなぜか最速147キロと書かれており、「この舞台で最速更新か!」とネット裏の編成担当者らはざわついていた)。しかし、層の厚いホークス投手陣の壁を打ち破れなかった。昨年念願のプロ初勝利を挙げるも、通算24試合でその1勝のみ。今季はウエスタンでチーム3位の38試合に登板。4勝1敗、防御率2.72の成績を残したが、1軍からのお呼びはかからなかった。

「基本的にNPB球団からのオファーを待ちます。独立リーグなどは今は考えていません。特に期限などは考えていません」

来年1月で30歳になる右腕。果たして、朗報は届くだろうか。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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