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侍ジャパンと対戦の台湾選抜がスタメン発表。トップバッターは元ソフトバンク投手

田尻耕太郎スポーツライター
ソフトバンク時代の陽耀勲。7年間プレーし一軍通算は5勝だった(写真:ロイター/アフロ)

1番ライトで出場

WBCに向けた侍ジャパンの壮行試合が、2月28日と3月1日に福岡ヤフオクドームで開催される。対戦相手はCPBL選抜チャイニーズ・タイペイ。いわゆる台湾プロ野球選抜チームだ。

27日、同リーグが公式ツイッターで初戦の先発メンバーを発表。1番、ライトで名前を連ねたのは日本球界でも馴染のある、元福岡ソフトバンクホークスの陽耀勲だった。

ソフトバンク退団後は渡米するも・・・

陽は、巨人の陽岱鋼の実兄で、‘06年から‘13年までソフトバンクでプレーした。台湾の大学を卒業しそのまま入団。高い身体能力が自慢の左腕投手として期待されていた。しかし、制球難もあり一軍定着はできず通算5勝。それでも‘12年には7試合に先発して来日初完封勝利を挙げるなど成長の跡も見せていた。

ソフトバンク退団後はメジャーリーグ挑戦をめざし、パイレーツとマイナー契約を結んだ。しかし、ここからが波乱の野球人生の幕開けだった。招待選手としてメジャーキャンプに参加するもオープン戦で結果を残せずに開幕後は2Aでプレー。そこでも不振は変わらずに7月に解雇された。

台湾でプロ復帰後に外野手転向

失意のまま台湾に戻り、その年は台湾ポップコーンリーグ(社会人野球)でプレーした。

‘15年に一度は台湾プロ野球のドラフトでまさかの指名漏れするも、同年8月にLamigoモンキーズへの入団を果たし、プロの世界へとようやく戻れた。

紆余曲折はまだ続く。

マウンドに上がったのは1試合のみ。1アウトも取れずに降板する大乱調だった。その後左肩を痛めたことで、アマチュア時代以来の外野手に転向したのだった。

‘15年は4割打者。昨季は17発

ただ、これが奏功した。アマ時代は「二刀流」として活躍。ソフトバンク時代も2軍の雁の巣球場でフリー打撃を披露し、バックスクリーン直撃弾を放ってチームメイトを驚かせていた。‘15年9月の試合で野手転向後初ヒットを放つと、25試合で87打数37安打をマーク。打率.425という驚異的な数字を残し、わずかだったが日本にもそのニュースが伝わってきた。

そして昨シーズンは89試合に出場して359打数101安打、打率.281、17本塁打、74打点を記録した。

今回の試合は思い出深い福岡が舞台だ。侍ジャパンを相手にどんなプレーを見せてくれるのか、見どころの一つとなりそうだ。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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