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やはり松坂大輔は振りかぶった! 語ったワインドアップ投法へのこだわり

田尻耕太郎スポーツライター
キャンプ中からワインドアップ投法を試していた

オープン戦”開幕投手”「球に力はあった」

3月4日、オープン戦とはいえ“開幕投手”を務めたソフトバンクの松坂大輔。鹿児島で行われたヤクルト戦で予定の3回を投げた。大引にソロ本塁打を浴びるなど2失点(自責1)したが、「前回、宮崎でジャイアンツを相手に投げた時よりもマシだったかなと思います。個人的には肩が振れている感じはあったし、甘いところに行ってもファウルになったり、差し込めたりしていた。思ったよりもボールに力はあったと思う」と振り返った。

また、本人は「特に多めではない」と語ったが、ツーシームやカットボールなどでボールを動かすピッチングもこの日の特徴だった。昨年末にプエルトリコにわたりウインターリーグに参戦して身に着けたスタイルだ。「あっちのボールに比べれば、日本のボールは動きが小さくなる。その分コントロールはつけやすいですが、もう少しいい軌道になってほしい。沈んでくれるとゴロが増える」と語っていた。

ところで、その期間中、松坂で話題になったのは投球フォームだった。

ノーワインドアップ投法に挑戦していたはずだった。

「振りかぶる方が好き」

しかし、この日の松坂はかつてのように振りかぶっていたのだ。

「(試合前の)ブルペンで投げてみて大丈夫だなと思ったので。基本線は振りかぶる投げ方だと思っています。ノーワインド投法で投げていましたが、その(フォームで投げるため)ための形じゃなかったので」

個人的には振りかぶって投げるのが好き―――。

松坂はそのように言葉を継いだ。

じつは2月の宮崎キャンプ中から試行錯誤は繰り返していた。初日はノーワインドアップ投法でブルペン入りし、3日には異例の早さで打撃投手に登板。そこでも振りかぶることはなかった。

ただ、その日が転機だった。マウンドを降りてそのままブルペンに直行すると非公開で投球練習を行った。その際にワインドアップ投法も試していた。7日に今春最多の239球を投げ込んだ際にはワインドアップ投法を披露していた。

不変の松坂スタイルで復活を

日本復帰3年目の今シーズンは契約最終年であり、今季37歳という年齢を考えれば、進退をかけた一年になる。かつてのように150キロ超のストレートとスライダーという投球ではなくなったが、松坂スタイルはまだ生きていた。周囲に様々な声はあるが、復活を信じてやまないファンは大勢いるし、なんだかんだ言っても誰もが松坂の活躍を待ち望んでいる。

この日感じた手応えが、松坂の復活ロードを明るく照らすのだろうか。

スポーツライター

1978年8月18日生まれ、熊本市出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。卒業後、2年半のホークス球団誌編集者を経てフリーに。現在は「Number web」「文春野球」「NewsPicks」にて連載。ホークス球団公式サイトへの寄稿や、デイリースポーツ新聞社特約記者も務める。また、毎年1月には千賀(ソフトバンク)ら数多くのプロ野球選手をはじめソフトボールの上野由岐子投手が参加する「鴻江スポーツアカデミー」合宿の運営サポートをライフワークとしている。2020年は上野投手、菅野投手(巨人)、千賀投手が顔を揃えた。

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