スポーツ施設の理想型を徹底追求 マリナーズ・岩隈久志が開設した『IWA ACADEMY』に潜入!
メジャーリーグのマリナーズで活躍する岩隈久志投手が今年、東京都千代田区(麹町、四ッ谷、市ヶ谷各駅から徒歩4〜6分)の立地に、地下1階地上5階の『IWA ACADEMY』をオープンさせた。
この施設開設に込められた想いや施設の全貌を、今回は野球の側面からレポートする。(利用者は野球以外にもバスケットボール、フェンシング、バドミントン、プロチアリーダーなど様々な競技者が利用している)
わずか30分のレッスンが日常を変える
「来てくださった会員様に、正しいものをお伝えすることですね。岩隈さんの様々な経験の中で得たものを皆さんにお伝えできればと思います」
そう施設責任者の亀田恭之GMは話す。都心で硬球を使用できる数少ない室内施設とあって、オフシーズンには岩隈投手の他にも青木宣親外野手(マリナーズ)、前田健太投手(ドジャース)、川崎宗則内野手(カブス)らが来訪。アマチュア野球のトップ選手も定期的に訪れている。
そして、その指導にあたるトレーナーが、野球少年や一般の野球愛好家などの指導も行っていることが大きな特徴の1つに挙げられる。
トレーナーとマンツーマンで行うパーソナルレッスンは1回30分。この“たった30分”が“日常”を変える大きなきっかけになると、木村匡宏トレーナーは語る。
「ここのキャッチフレーズが“30分で、その日から上手くなる”というものなんです。なかなか普段のチーム練習や大きなジムでは、選手一人ひとりの感覚の中に入っていくことは難しいですよね。そんな時にここを有効に利用してもらいたいです」
具体的にどのように30分を使うのか。基本的に30分で1テーマを選び、それを体に染み込ませる。だが、すぐには自らが何をすべきかを考えるのは難しい。その大きなカギを握っているのが、プラクティスカードだ。
飛距離アップ、重力活用、フォロースルーなど様々なテーマが書かれたカードを、「どうしてこのメニューを選んだのか?」「実戦での課題は今、何なのか?」と、トレーナーと会話を交わしながら決めていく。
「その子の感覚の中に入り、グラウンドで輝くためにどうしたらいいか?を提案していくという形です」と木村トレーナーが話すように、こうして2人で課題克服や長所を伸ばすイメージを共有する。
こうしてレッスンを重ねていくと“こういうことを練習したいから、このドリルを選択する”という感覚が鋭くなり、選手の吸収や成長のスピードが早くなるのだという。
「ここに来るのは月に1回や2回でも充分だと思います。このレッスンを入口にして、自分のやりたいこと・やるべきことに気づいて欲しい。それをもとに自主練習をして、実戦の場で収穫や課題が出て、それを基にまたコーチングして良い方向に導いていく。こうなれば良い成長のサイクルができます」(木村トレーナー)
リカバリーとのサイクル
プロフェッショナルのトレーナーに指導を受けることができるプラクティス・フィールド(地下1階)に加え、トレーニングを行うストレングス・フィールド(4階)や体のケアを行うリカバリー・フィールド(4.5階)が一体となっているのも、この施設の大きな強みだ。
※また株式会社エステプロ・ラボと提携し独自のファスティングプランも提供している。
「通常であれば、練習はグラウンド、体のケアは治療院、筋力強化はジムで、とそれぞれで行っていたことが、ウチではそれが1箇所にまとまっています。また各トレーナー間で連携が取れているので、会員様の情報も共有できています」と亀田GMはその利点を語る。
例えばバランスの悪いフォームが原因で故障した際は、その治療をリカバリー・フィールドで行い、その原因となるフォームの改善をプラクティス・フィールドで取り組み、そのフォームに必要な筋肉をストレングス・フィールドでつける。
こうした理想的なサイクルが、このビルの中で全て行うことができるのだ。
ストレングス・フィールドでは海外の有名スポーツチームからも高い評価を得ているKEISERなどの最新器具を導入している。天井が高く、太陽光を取り込んでいるので、開放感にも溢れている。
スポーツを愛するすべての競技者に
インタビューの最後に木村トレーナーは「やっぱり子供には夢を描いて欲しい。そのことによってくる困難を乗り越える力をつけて欲しいんです」と岩隈投手の思いを代弁した。
また、木村トレーナー自身もレッスンを通じて選手たちの表情や言動が大きく変わっていくことを肌で感じている。
これまでメジャーリーグに興味さえ持っていなかった子供が、動きが良くなり試合で結果が出始めると、メジャーリーガーの夢を口にし始めたことがあった。
4月末からはそうした子供たちのために向けた英会話教室を、1階のレクチャースタジオでスタートさせた。こうして、スポーツをきっかけとして日々の生活を豊かにしていく理想型を、今後さらに追求していく。
「トップアスリートやトップを目指す学生アスリートだけでなく、5,6歳でこれからスポーツを始めたいというお子様も会員様にはいらっしゃいます。また、スポーツやったことない方、ゴルフやフットサル、草野球が上手くなりたいという方でも構いません」と亀田GMは力を込める。
そして、その門戸と日々の生活を豊かにする未来は、スポーツを愛する競技者すべてに広く開かれている。
取材・文・写真:高木遊
取材協力:IWA ACADEMY