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「民主党党首選」候補者に 三ツ星議員はいるか? いないのか? 

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事
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民主党党首選の候補者といわれる議員たちの国会での活動データ一覧

いよいよ今週、188特別国会が招集され、先の衆議院選挙で初当選した新人議員も含め、国会議員が登院した。

今回は、特別国会である事もあるが、12月24日に招集され26日までの3日間とこれまでの最短になるため、本格的な議論は、年明けからの通常国会という事になる。

この特別国会の中で、内閣総理大臣指名選挙が行われ、衆議院では安倍晋三 議員328票、岡田克也 議員73 票など、参議院でも安倍晋三 議員135票、岡田克也 議員61票などとなり、衆参両院本会議で安倍晋三 自民党総裁が第97代内閣総理大臣に指名され、第3次安倍内閣が発足となった。

この際、民主党が岡田克也 議員に投票したのは、海江田万里 民主党前代表が総選挙で落選し、岡田克也議員が民主党代表代行であるからだ。

こうした中で、政治の次の関心は、野党第1党である民主党の党首選へと移りつつあり、今回は、この代表選挙への立候補が噂される民主党国会議員たちを、NPO法人 万年野党で行ってきた国会議員三ツ星評価や、国会での活動データから紹介していきたい。

まず、この民主党代表選挙へいち早く立候補表明したのが、民主党前幹事長で、内閣府特命担当大臣なども務めた6期目の細野豪志 議員(43)だ。細野 議員の国会での活動を、前回の衆院選から今回の衆院選までの2年間で見ると、質問時間599分(99位)・質問回数19回(110位)・議員立法発議回数1回(129位)・質問主意書提出件数0件(63位)であり、残念ながらNPO法人 万年野党による「国会議員三ツ星評価」<http://yatoojp.com/2014/12/01/1562/>では、星の獲得はなかった。

次に、民主党元代表で、民主党政権時代には副総理や外務大臣などを務めた9期目の岡田克也 議員(61)。この2年間の国会での活動は、質問時間451分(121位)・質問回数11回(143位)・議員立法発議回数1回(129位)・質問主意書提出件数2件(26位)となっており、三ツ星評価での星の獲得はなかった。

参議院議員からも立候補へ意欲を見せているのは、内閣府特命担当大臣なども務めた蓮舫 議員(47)。参議院のため、単純に衆議院議員と比較できないが、同様にこの2年間のデータで見ると、質問回数11回(125位)・議員立法発議回数11回(8位)・質問主意書提出件数3件(24位)となっており、「国会議員三ツ星評価」では、議員立法発議回数で一ツ星☆を獲得している。

この他にも候補者として有力視されているのが、民主党元代表で、外務大臣や国交大臣を歴任した8期目の前原誠司 議員(52)。質問時間674分(88位)・質問回数16回(122位)・議員立法発議回数3回(61位)・質問主意書提出件数0件(63位)で、三ツ星評価での星の獲得はなかった。

国土交通大臣や内閣府特命担当大臣を務めた5期目の馬淵澄夫 議員(54)も、質問時間305分(140位)・質問回数7回(173位)・議員立法発議回数2回(97位)・質問主意書提出件数1件(36位)で、星の獲得はない。

民主党「代表候補」唯一の三ツ星議員とは?

唯一人、NPO法人 万年野党の三ツ星評価で最高評価の三ツ星☆☆☆を獲得した議員が、民主党代表選挙の候補者としてメディアなどに名前が挙がっている。3期目の玉木雄一郎 議員(45)だ。質問時間1658分(20位)・質問回数55回(27位)・議員立法発議回数17回(3位)・質問主意書提出件数1件(36位)と、国会内での活動の「量」による評価ではあるが、安定した活動を行っている。

代表選挙ともなると、どうしてもテレビによく出て、党の要職や大臣などを歴任した俗に言う“大物議員”にばかりスポットライトが当たる。しかし、今回の民主党代表選挙は、単に一つの党の党首を決めるというよりも大きな意味があるように思う。

2012年の衆院選で自民党に政権交代して以来、「一強多弱」などとメディアなどでも揶揄されてきた。

こうした中で、NPO法人 万年野党は、野党やマスコミが果たすべき政府の監視機能が十分に果たされていない事を指摘し、本来野党などの果たすべき監視機能を補完する、いわば「国会外の万年野党」としての役割を果たそうと立ち上げた。

今回の衆院選で、再び与党自民公明で325議席を獲得し、定数の2/3を上回った。

野党には、再編も含め、この国の政権選択の一つとなる政党をめざしてもらうと共に、少なくともこの構造の中で、国会の中で、政府や政策に対する監視機能の向上や、さらなる改革促進の具体策の提示をしていってもらわなければならない。

NPO法人 万年野党では、国会の活性化を目的に、国会議員の国会での活動データから三ツ星評価を行ってきたが、そもそもこうした国会議員の三ツ星評価を始めた背景には、国会議員に選ばれながら、任期中ほとんど発言していない議員がいる・・・といった事実から始まった。有権者に聞くと、テレビ出演などメディアへの露出が多い国会議員が一流の国会議員だと思われている節さえある。

こうした中で、地道に国民のためにと活動している議員にスポットライトを当てて評価していこうというのが、このプロジェクトを始めるきっかけだった。

これまでに2012年総選挙版、2013年参議院選挙版を発刊、その後は、国会会期ごとに「国会議員のデータブック」を作成し、2013年12月に第182.183国会版、2014年4月に第184.185国会版、2014年9月に186国会版と発行してきたが、先日の衆院選では、このNPO法人 万年野党での評価を「三ツ星議員」として多くの議員が活用してくれ、評価を受けた国会議員からは、「こうした国会での活動を評価してもらえるのはありがたい」「地元の有権者への説明などで大いに活用させてもらっている」などといった声をもらった。

今回の民主党代表選においては、民主党員、民主党所属の地方議員、民主党国会議員などしか投票に参加する事はできないが、是非、こうした指標なども活用いただきながら、政府に対して対案を示していける政党の党首は誰なのか、この国のもう一つの選択肢を創るためにはどうすればいいのかと考えてもらいたい。

一昔前の話になるが、民主党内で「変わらなきゃ、民主党。」といったキャンペーンがあった。

今こそ民主党は「変わらなきゃ」ならないのではないだろうか。

2014年「万年野党 活動日誌」人気記事ランキング

さて、今年3月から書いてきたこの「万年野党 活動日誌」も今回でちょうど40回目となった。

今回で、今年は最後のコラムとなるが、この間、読んでくれた皆さんには、感謝したいと思う。

ちなみに、この間、書いてきた「万年野党 活動日誌」のコラムの中で、各媒体での合計で、最も「いいね!」と「ツイート」をしていただいたコラムからBest10を紹介したい。

この年末年始にでも、あらためてご覧いただきながら、また次年度以降もNPO法人 万年野党をご支援いただければと思う。

1位国会質問も議員立法も質問主意書もない「オールゼロ議員」、64人全氏名を公開!(10/15)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40751

2位「質の高い質問」をした議員は誰かーー今国会「国会議員質問力評価」1位から70位までの全議員名を発表(6/17)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39567

3位データでわかった「三ツ星議員」を公開する(5/5)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39167

4位もっとも議員立法を行った「政策通」議員は誰か?――2013年の全議員立法リストを公開する(7/15)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39853

5位5・26 田原総一朗氏・竹中平蔵氏らが「万年野党“結党”大会」を開催する(4/27)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39123

6位全児童にタブレットを配布! 藤原和博・元和田中校長が語る「反転授業」による武雄市の教育改革(7/1)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39712

7位「質問回数の多い議員」と「質問の質が高い議員」ランキングのデータを公開(6/24)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39643

8位総選挙直前速報! 衆議院「三ツ星・二ツ星国会議員」全氏名を公開する(11/27)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41238

9位全国から国家戦略特区が集結。ニッポンの景色はどう変わるのか。(5/12)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39225

10位本当の「政策通議員」は誰か? 議員立法発議数ランキング(10/22)<http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40846> となっている。

この1年で書いてきた「万年野党 活動日誌」の一覧については、こちらからご覧ください。

年明け1月で、NPO法人 万年野党(会長:田原総一朗)は設立1年を迎える。

入会・更新<http://yatoojp.com/join/>いただき、新年もまた、引き続き活動を支えていただければと思う。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

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