Yahoo!ニュース

万年野党設立1周年! 今ほど「与党の政策の監視」が必要な時代はない

高橋亮平日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

自民党の圧勝で、政策に対する監視の必要性はより強まった

年末、12月14日投開票で行われた第47回衆議院総選挙。議席数の変動を改めて確認しておこう。

議員定数475人中、自民は単独で絶対安定多数を超える291議席、公明の35議席と合わせ、与党は326議席となり、全議席の3分の2以上を確保した。

前回の第46回衆議院総選挙(定数480)を見ると、自民294議席、公明31議席、与党325議席となっており、定数自体が5人減っているため単純な比較はできないが、与党は議席数を増加させているものの、自民自体は3議席減らしていたりもする。

ちなみに民主は57議席から73議席に16議席の増、維新は次世代と別れ、みんなと別れた結いと合併と、複雑な状況はあるが、維新の会54議席から維新の党41議席と13議席の減になっている。ちなみにみんなは前回18議席である事を考えると、次世代2議席と無所属になったみんなの当選を考慮してもだいぶ減っている事が分かる。

共産は8議席から21議席への大幅な増加となった。この事により、共産は衆議院での単独の議案提出権を得る事となった。この間、NPO法人 万年野党で行ってきた「国会議員三ツ星評価」でも共産の議員立法発議数が少なかったが、こうしたものも変わってくる可能性がある。

総選挙の解説・評論は様々なところで行っているのであえて長く書くつもりはないが、こうした状況の中では、与党の数が圧倒的であり、政府の政策に対する監視の必要性はより強くなっている様に思う。

NPO法人 万年野党を結党した趣旨は、これまでも書いてきた事ではあるが、「政府の監視」という機能が、現在の我が国では十分に果たされていない事を受け、こうした結果、政府が自己増殖し、民間への過剰な介入や規制を行ない、活力ある経済社会の実現が阻まれるといった状況に対して、野党やマスコミなど本来果たすべきところの監視機能を補完する、いわば「国会外の万年野党」として、政策監視を行っていこうというものである。

ただ、一方で、「政府の政策監視」というと、あたかも政府の政策に反映する様なものを思いがちだが、我々が目指すべきは「政府が自己増殖し、民間への過剰な介入や規制を行ない、活力ある経済社会の実現が阻まれるといった状況」の打開であり、あくまで改革を進めるという方向であれば政府を支持し、その政策の妥当性や効果、本質に踏み込んだ改革になっているかをまさしく「監視」していく事になる。

その際には、チェック機能だけでなく、さらに政府の先を行く政策の提案や問題提起など、改革を推進させる働きをしていく事を言う。

こうした事を考えても、これまで以上に、NPO法人 万年野党が行う政府の政策監視の重要性は増してくるものだと考えている。

政界再編も含めた、野党が機能する状況がつくられる事も重要

NPO法人 万年野党は、昨年2013年1月6日に法人格を取得して、1周年を迎える。

新年という事もあるので、今回は、この1年間のNPO法人 万年野党の活動を振り返ってみたいと思う。

1月に法人格を取得し、結党大会自体は、5月に行った。自民党の塩崎恭久 現厚生労働大臣はじめ、江田憲司 維新の党代表、浅尾慶一郎 当時のみんなの党代表など、15名もの国会議員が参加。

9月に実施した第2回総会においては、中谷元 (衆議院議員・自民党、元防衛庁長官)と枝野幸男(衆議院議員・民主党、元官房長官)を交え、今月から始まる通常国会の中でも一つの争点になるであろう集団的自衛権についての議論を行った。

この間、NPO法人 万年野党のイベントに参加してくれた国会議員は、前述の塩崎恭久(現厚生労働大臣・自民)、中谷元 (現防衛大臣・自民)、江田憲司(維新の党代表)、枝野幸男(元官房長官・民主)、浅尾慶一郎(元みんなの党代表・無所属)はじめ多数いる。

井坂信彦(維新)、泉健太(民主)、今井雅人(維新)、大熊利昭(維新・元)、柿沢未途(維新)、小池晃(共産)、小池政就(維新・元)、後藤祐一(民主)、篠原孝(民主)、新原秀人(維新)、平将明(自民)、玉木雄一郎(民主)、中島克仁(民主)、中西健治(無所属)、畑浩治(生活・元)、原口一博(民主)、松田公太(無所属)、薬師寺道代(無所属)、柚木道義(民主)と、与野党を超えて多くの国会議員に参加してもらった。

結党大会などにおいては、参加者からもさしずめ政界再編による新党の結成につながるのではないかという声が聞こえる程だった。

NPO法人 万年野党が政界再編など政治的なところまで介入する事はないが、一方で、国会の中で、政府の政策を監視し、さらに改革を進めていく対案を提示していく状況を創っていく必要があると考えており、特にこうした立場から国会の中で活躍する国会議員たちにスポットライトが当たり評価される様にする事で、国会の活性化につなげていきたいと考えている。

経済政策はじめ、改革を進めていくための仕組みが求められる。

4年に1度の地方政治を変えるチャンスの年

もう1点、NPO法人 万年野党が注目しているのが、なんと言っても経済政策である。

NPO法人 万年野党では、これまでも事ある毎にアベノミクスについての検証と成長戦略の具体策について、問題的と提案を行ってきた。

とくに、国家戦略特区については、昨年も法人設立以来、2月に大阪で行った『国家戦略特区シンポジウム@関西』を皮切りに、4月に『シンポジウム「養父市の挑戦 ~国家戦略特区で日本農業はどう変わるか?」』、5月に『国家戦略特区シンポジウム「徹底検証!ニッポンの景色はどう変わるのか~知事・市長、国の特区政策の関係者が集結~」』とシンポジウムを行った。

しかし一方で、こうした国家戦略特区など規制緩和により、地域から知恵と覚悟さえあれば、新たな経済政策が生み出せる土俵を国によって創られたにも関わらず、地方自治の現場からはなかなか新たな挑戦が生まれてこない現状がある。

成長戦略のためにも、地方自治や地方政治を変えていく必要がある

こうした中、今年、2015年4月には、統一地方選挙が行われる。

4年に一度の、地方政治の状況を大きく変える可能のあるこの統一地方選挙、4年前の2011年には、当時37,302人いた地方政治家の内42.5%にあたる15,841人がこの選挙で新たに選ばれた。

私が議員を務めていた市川市議会では、会派に支給される政務活動費をめぐり、切手の大量購入が不正利用である可能性があると、監査請求の対象となった切手を大量購入した14人の議員についての調査を求める「百条委員会」の設置に加え、逆に調査を求めている18人の議員の政務活動費についても支出が適正かを調査する「百条委員会」も設置され、2つの「百条委員会」が設置されたと、NHKはじめ多くのメディア、マスコミに取り上げられている。

昨年は、この市川市議会だけでなく、兵庫県議会をはじめ全国の多くの地方議会でこの政務活動費に関しての問題が明るみに出て取り上げられたが、この政務活動費に限らず、地方議会については、大きくそのあり方を変えていく議論が必要になってきているように思う。

NPO法人 万年野党では、国会議員の活動について、『国会議員三ツ星データブック』の発行を通じて、国会議員お評価基準を新たに提示してきたが、こうした状況の地方議会・地方議員についても、何らかの新たな評価軸や目指すべき方向について提示できないかと考えている。

少なくとも、地方政治を大きく変えるチャンスは、4年に1度しかない事を国民の皆さんには、共有してもらえる様な働きかけができればと思う。

国民の立場で政策監視を行っていく存在として、支えてもらいたい

NPO法人 万年野党は、シガラミや利益団体によって利益を再配分する仕組みとしての政治に対して、こうした構造に関わりのない国民が増えてくる中で、シガラミのない、こうした国民の立場に立って、政府をはじめ、政党、地方行政などの行う政策の監視を行い、またさらにより良い政策の提言や問題提起などを行っていく存在を創っていく必要があると考えている。

そのためにも改革を進めていく事を共有しながらも、幅広い方々に加わってもらおうと、共感いただいた方々には、その都度、アドバイザリーボードにも加わってもらっている。

NPO法人 万年野党の今日(2015年1月)現在の役員構成は、会長に田原総一朗氏、理事長に宮内義彦氏、アドバイザリーボードには、岡田彰氏、小黒一正氏、帯野久美子氏、草刈隆郎氏、古賀茂明氏、堺屋太一氏、櫻井敬子氏、下村健一氏、城繁幸氏、鈴木亘氏、須田慎一郎氏、高橋茂氏、高橋洋一氏、竹中平蔵氏、辰巳琢郎氏、冨山和彦氏、新浪剛史氏、野村修也氏、橋本博之氏、八田達夫氏、福井秀夫氏、堀義人氏、町亞聖氏、八代尚宏氏、屋山太郎氏、湯元健治氏、ロバート・フェルドマン氏と錚々たるメンバーが並んでおり、理事は、岸博幸氏、磯山友幸氏、原英史氏、事務局長は高橋亮平となっている。

ただ、シガラミノない政策提言を続けていくためには、NPO法人 万年野党自身もまたシガラミをできるだけ創らない形で活動を行わなければならない。

そのためにもNPO法人 万年野党の活動は、会員の皆さんからの会費によってまかなっている。

是非、こうした日本の政治を補完する「国会外の政策監視の仕組み」の必要性に共感してくださった方には、新たに募集を開始した2015年会員として、<a href="http://yatoojp.com/join/" target="_blank" title="">NPO法人 万年野党(会長:田原総一朗)</a>の活動を支えていただきたい。

日本政治教育センター代表理事・メルカリ経営戦略室政策企画参事

元 中央大学特任准教授。一般社団法人生徒会活動支援協会理事長、神奈川県DX推進アドバイザー、事業創造大学院大学国際公共政策研究所研究員。26歳で市川市議、全国若手市議会議員の会会長、34歳で松戸市部長職、東京財団研究員、千葉市アドバイザー、内閣府事業の有識者委員、NPO法人万年野党事務局長、株式会社政策工房研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員等を歴任。AERA「日本を立て直す100人」に選ばれた他、テレビ朝日「朝まで生テレビ!」等多数メディアに出演。著書に『世代間格差ってなんだ』(PHP新書)、『20歳からの社会科』(日経プレミアシリーズ)、『18歳が政治を変える!』(現代人文社)ほか。

高橋亮平の最近の記事