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ACLグループリーグ第1節 ガンバ大阪VS広州富力 試合後、監督&選手コメント

高村美砂フリーランス・スポーツライター

<ガンバ大阪>

●長谷川健太監督

まずホームで勝てなかったのは非常に残念でした。立ち上がりからそこまで内容は悪くない中で、広州の方がしっかりとした守備からカウンターを狙ってくるのは予想していましたが、1発目のカウンターでやられ、相手が非常にさげたブロックを作ってきた中で、結果的にはそこを崩し切れなかった。それが今日負けたポイントだったのかなと思っています。ちょっとしたところのズレというか、開幕戦ということもあり、試合感がなかった部分もあったと思う。ただ、選手は最後まで勝ち点をとる、勝ち点3をとるためにプレーしてくれました。初戦、非常に残念な結果でスタートしましたが、これで選手も目が覚めると思いますし、ここからまたプレーの質をあげて、残り5試合、しっかりと勝ち点をとって予選を通過できるように戦っていきたいと思います。

ーボランチのところ、最終的に先発で小椋選手を選択した理由、評価を。また後半から倉田選手を起用した狙いをお聞かせください。

小椋はトレーニングで非常ににいいパフォーマンスをしていたし、今日の前半も、非常にいいパフォーマンスをしてくれたと思っています。前半、早い時間帯に先制されたあと、相手がシステムをかえて、4−2−3−1に変更し、7番の選手を遠藤保仁につけてきましたから。後半もそういう展開が予測された中で、起点をもう一つ増やしたい、と考え、倉田を投入しました。その中で倉田も倉田なりのパフォーマンスをしてくれたと思っています。彼らの働きには非常に満足しています。

ー富力にはどんな印象をもちましたか。またFWハメドアラー選手にとられた時の印象は?

試合の前の会見でもいいましたが、非常に組織的なチームで、1点を先制すると、非常に強固な守備ブロックを作ってくるチームだと思っていました。カウンターもハメドアラー選手を中心にアグレッシブなチームだと言う印象です。ハメドアラー選手は映像で1試合しかみていませんが、非常にプレーがやわらかく、なかなか彼を止めきれなかったことが2失点にも繋がったと思っています。次回はしっかりと対応できるように準備していきたいと思います。

ー試合前からJリーグの王者としてのプレッシャーがあったんじゃないかと思います。また、近年、ACLで中国のチームに勝てていなかったプレッシャーもあったのでしょうか。また今後、中国のチームにどう対応しますか?

中国のチームに対してのプレッシャーということはなく、どこの国とやる時も同じ気持ちで戦っています。ただ、中国のチームというのは抜きで広州をみたときに、組織的な戦いをしてくるチームなので非常に難しい試合になる事は予測していました。今後についても、広州というチームが大きく戦い方をかえてきたら別ですが、ああしたきちっとした守備をどう崩していくのかはこれから考えていかなければいけないところだと思っています。

●MF遠藤保仁

(富力について)イメージしていたのと違ったのは、サイドバックがもっとあがってくると思っていましたがベタ引きだったことくらいでした。初戦なのでまだまだフィット感をあげていかなければいけないと感じました。先制点をとられたことで、試合を難しくしてしまった。中央を固められて引かれると崩すのは難しい。失点以外はチャンスを作らせなかったとはいえ、一本で決められて不利な展開になってしまうのがサッカーでもある。一瞬の隙を与えないようにしていかなければいけない。ただ、今後、試合をこなしていけばコンディションはあがっていくと思う。初戦はすべてがパーフェクトではなかったですが、幸い連戦ですから。試合をこなしていくことで実戦感覚を取り戻していく必要があると考えても連戦なのはありがたいこと。韓国に行くまでにコンディションをあげて、試合を重ねながらよくしていけば問題ないし、下を向く必要はない。ACLの厳しさや、中国はJリーグよりフィジカルが強いとか、いろんなことを感じられたのも良かった。外国籍選手にしても、Jリーグにはいないタイプがいますから。今日感じたことを次に繋げていかないといけない。グループステージは1位でも2位でも通過すればいい。残りの5試合で負けた分を取り戻せるようにやっていきます。

ー引かれた相手をなかなか、崩せませんでした。

そこは課題です。ドリブルなり、ワンツーで1枚はがすとか、工夫していかなければいけない。あとは試合感の部分ですね。ただまだ1試合終わっただけなので焦らずに、公式戦をやれたということを前向きにとらえてやっていきたい。やっぱり公式戦は練習試合とは違いますし、選手も本番をやったからこそ感じたことがあるはずなので。

ーボランチの組み合わせが前後半でかわりましたが。

いろんな選手が入ってもいいサッカーをしないといけないし、小椋(祥平)とは公式戦で初めて組みましたが、違和感なくやれました。いずれにしても、全員の力で勝ちに繋げていくことができなければハードスケジュールは乗り越えていけないので、そこは全員で共通理解をもってやっていきたい。

●FW宇佐美貴史

1点目の獲られ方がもったいなかった。ブロックを固められてしまい、崩し切れなかったけど、もう少し身体が仕上がってこればぶっちぎられる力はある。試合を通じてコンディションをあげていきたい。今日は相手の戦い方にはめられたというよりは、自分たちからはまっていってしまった印象の試合。ああいう戦い方をしてくる相手にどう崩すのかがテーマ。コンディションということも含めて、もっと高めていきたい。(ガンバはACLの初戦に負けたシーズンでグループステージを突破したことがないですが?)それは過去のデータだし、データでサッカーをしている訳ではないですから。これからあげていくことさえできれば取り返せると思います。

●DF丹羽大輝

少し不運な形で失点してしまい、2点目も味方に当たって入ってしまうという、少し初戦で堅さがでてしまったのかなっていうのはあります。また、攻撃の時に遊びのパスというか、もっともっと相手を動かして焦れずにやっていくことが出来ればもう少しできたのかなと。慌てて攻めこんでしまったり、慌てて仕掛けてしまったのもあったし、シュートも少なかったと思うので。シュートを打てる場面でしっかりと打つことによって相手が中を締めて、外があいてくるということもあっただけに、そう感じました。うしろから観ていても、決定的な場面は、パトのあのヘディングくらいでしたしね。そのへんは次、またレッズ戦に向けての課題というか、攻撃のバリエーション、ダイナミックさをもっと出していきたいと思います。

ー先制を許してしまったことで相手も引いてブロックを作ってきた。それもある意味想定内だったと思いますが。

そうですね。スカウティングで相手がひいてくるのは想定内でしたし、その引いてきた相手をどうやって崩すのかも練習ではトライしていたのですが、それ以上に相手が引いてきた中でそこを崩せなかったのは、今回出た課題だと思います。ただ、そこを打開するには練習しかない。4日後に試合がありますが、後ろからのビルドアップ…GKを含めて、いいパスをつけることや、ボランチからいいパスを配給すること、何かしらバリエーションを加えてミドルシュートを打つこと、クロスの精度をあげることなど、今日は課題がたくさん出たので、そのへんを修正して次は結果を残せるようにやるだけです。次はゼロックスでタイトルの懸かった試合。今日の負けは負けで真摯に受け止めてトレーニングで修正するしかない。やっているサッカーは間違いないし、このサッカーを1年間続ければ必ず結果は出ると思う。1試合負けたからと言って、やるサッカーを変えることなく、自分たちのサッカーを信じて、4日後に、自分たちのサッカーをしたいと思います。

●MF倉田秋

(途中から出場になりましたが)そうですね。点を獲るしかない状況だったので、嫌なところをもっとついていかなければいけなかったのですが、引かれた相手を崩し切れなかった。もう一度しっかりやり直したい。(試合内容について)先制を許したこともあり、相手が思ったより下がってきましたね。9番が思ったより良く、一発でやられてしまった。(全体的に後半は足が止まったようにも見えましたが)疲れていたというか…最初の試合ですからね。一番前のラインが一列になってしまったり、バランスの良い距離感がとれていなかった。(それは前が引いてしまったのか、後ろがあがれなかったのか?)どっちもあると思います。カウンターでも相手の方が走れていましたしね。切り替えのところでも今日はすごくしんどかった。去年のJ1リーグ最終節の徳島戦みたいな展開になってしまった。そういう意味では引かれた相手をどう崩すかは去年からの課題だと思う。追いかける展開になった時に力を発揮するというのは去年もやってきたこと。それを今年もやっていくしかないですね。

<広州富力(中国)>

●CONTRA COSMIN MARIUS監督

みなさん、こんばんは。まず我々の選手におめでとうと言いたいと思います。ガンバはとても良いチームですが、今日は運良く、最強チームに勝つことができました。前半は相手に押され気味で、1点しかと獲れなかったのですがが、後半はいろんなチャンスを作ることができました。ただ、相手の攻撃も激しく、その中でうちはもう1点獲れて、勝利をおさめることができました。勝ち点3を持ち帰って、次の試合の準備に臨みたいと思います。

ー広州は、大阪でアウェイチームが勝てなかったという記録を破りました。広州は新しいチーム。アウェイで勝ち点3をとれて本当に良かったです。

おっしゃるとおり、Cリーグのチームとして、初めてアウェイの地で勝ち点3をとれたことを嬉しく思っています。選手がよく頑張ってくれたので、選手におめでとう、ありがとうと言いたい。ガンバはJリーグの王者だと考えても、今日の試合、選手の動きには非常に満足しています。

ー激しい攻防戦になった中で勝利することができました。今日のGKについての評価をお願いします。

細かいところを言いますと、特に試合前の準備は十分だったといえます。相手は初戦だったのに対して、我々はこれまでに2試合を経験していたこともあり、十分準備ができました。前半、1点を獲ったあと、守備においてもきめ細かい守備ができたし、後半は十分、反撃もできました。それは今日の試合を勝つ要因になりました。GKもよく働いてくれました。ガンバ大阪の攻撃に対して本当によくゴールを守ってくれたので、非常に満足しています。

●FWハメドアラー選手

今日の相手のアウェイ戦で強豪チームを相手に勝ててよかった。今回の試合に尽力していただいた選手、スタッフの皆さんに心より感謝しています。

ーCリーグの試合と、ACLの試合はどちらが難しかったですか?

もちろん、CリーグよりもACLの方が、たくさん強豪チームが存在しています。このACLで非常に難しい試合を経験する事によって、富力もどんどん成長して行くと思います。

フリーランス・スポーツライター

雑誌社勤務を経て、98年よりフリーライターに。現在は、関西サッカー界を中心に活動する。ガンバ大阪やヴィッセル神戸の取材がメイン。著書『ガンバ大阪30年のものがたり』。

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